IgA量を増やすには?

IgAの量には、個人差がありますか。

 IgAのレベルが高い人は感染しにくく、低くなると感染しやすいことは、よく知られています。例えば、選択的IgA欠損症という先天性の病気があり、欧米では比較的多いのですが、3分の1ほどの患者では、繰り返しかぜや消化管感染症にかかることも知られています。

 過度な運動をすると、免疫力は低下します。英国のプロ・サッカーチームでは、唾液中のIgA量計測を選手たちの体調管理に採り入れています。唾液中のIgA量を測定できる簡易な計測器が発売されており、練習の休憩時間にこれで測定してみて、IgAレベルが低下し過ぎていないかを確認した上で、運動量や栄養を調節します。試合前に、かぜを引いたりしないように予防する意味があります。運動生理学分野で、スポーツ選手を対象にしてIgAレベルの有用性を示す研究は、実は日本にも多くあります。子どものインフルエンザ発症とIgAレベルの関係を示したカナダの研究もあります。

 残念ながら、この測定器は日本円で10万円ほどする高価なものなので、一般の人がセルフケアのために購入して、日常的にIgA量を測定するというわけにはいきません。IgA量を増やす方法はいくつか知られており、その前後で手軽に計測できると便利なのですが……。

IgA量を増やすには、どうすればいいですか。

 いわゆるストレッチなどの軽いエクササイズ、有酸素運動によって、唾液中のIgA量を高められることが知られています。

(写真:川島 彩水、以下同)

 また、食品では、納豆やヨーグルトなどの発酵食品や食物繊維の摂取も有効です。我々が被験者にヨーグルトを食べてもらい、前後で測定してみたところ、唾液中のIgA濃度、分泌速度とも有意に増加していました。そのメカニズムはよく分かっていないのですが、大腸発酵の代謝産物である短鎖脂肪酸が血中に入って全身を巡り、唾液腺の交感神経節にある短鎖脂肪酸受容体にも反応し、唾液中のIgAが増加すると想定しています。

 発酵食品は粘膜免疫の“司令塔”である腸管の免疫力も向上させますが、腸管免疫と唾液腺の免疫の賦活化にも相関関係があり、統制の取れた「腸-唾液腺相関」が働いているのです。プロバイオティクス(宿主に有益に働く生きた細菌)だけなく、プレバイオティクス(腸内の有用菌を増殖させるか、有害菌の増殖を抑制する食品成分)に作用する食品を食べることが重要です。

 最も上位に来るのがIgAですが、唾液中には、他にも、ラクトフェリンやリゾチームなど、抗ウイルス作用を持つタンパク質が多く含まれています。