すべて私たちでできるわけではない

キャンサーエコシステムは、保険加入者(患者)側からのニーズという点ではどう位置付けていますか。

 アンケート調査を実施したところ、がんに関して治療以外の分野でもソリューションの提供に対するニーズが高いと確認できました。私たちは、そのようなニーズに応えていくため、治療以外の領域で様々なサービスを展開していきたいと考えていますが、すべて私たちでできるわけではありません。がんに関わる社会的課題の解決に関心の高い医療機関、大学・研究機関、企業などとの連携・協業を進めているところです。

 患者の方には、予防、早期発見、治療と仕事の両立、治療後のQOL維持など治療以外の領域において多様なニーズがあります。医療機関だけでそのような多様なニーズに応えていくのは難しいと聞いており、医療機関以外も含めた様々なステークホルダーが連携・協業して取り組んでいくことが必要です。私たちは、各ステークホルダーがそれぞれの強みにフォーカスしつつ、連携・協業して、がんに関わる社会的課題を包括的に解決するプラットフォームであるキャンサーエコシステムを構築したいと思っています。

 例えば、東京や大阪の病院など自宅から離れたところで長期間にわたって小児がんなどの難病の治療を受ける子どものご家族には滞在費が大きな負担となっています。そこで、私たちは、小児がんなどの難病の治療を受ける子どものご家族が1泊1000円で宿泊できる施設「アフラックペアレンツハウス」を設立しました。子どもの治療中は期間の制限なく利用できます。また、駐在するカウンセラーがご家族の不安や悩みの相談に応じていて、経済的だけでなく精神的なサポートも提供しています。小児がんの子どもとご家族の支援で長年の実績がある公益財団法人「がんの子どもを守る会」が運営を行っていて、私たちは寄付を通じて運営を支援しています。

 その他に、私たちはがんの経験者同士がつながる場を提供するため、「tomosnote(トモスノート)」というがん経験者コミュニティサイトを運営しています。これは、がん患者の方が医療従事者やご家族になかなか悩みを相談できないことがある、同じがんにかかった経験がある人と悩みを共有したい、というニーズがあることを知り、2年前に立ち上げたものです。「ひとりじゃない」と感じられる場所を提供することで、がん患者の方の孤独感を解消したいと考えています。SNSという方法で全国の多くのがん患者の方に参加いただくことで、同じような悩みを持っているがん患者の方を見つけ、つながりやすくしています。全国各地のがん患者支援団体や医療機関と連携して、tomosnoteの普及に努めています。