がんスクリーニング技術は精度の向上に期待

がんの超早期発見に向けたスクリーニング技術の開発が進んでいます。この領域もキャンサーエコシステムの一つとして協働などを展開されていますが、どのように見ていますか。

 スクリーニング技術が進展し、がんの早期発見と、それによる早期治療が可能となるのは良いことがいくつかあります。手遅れになる前に発見できる、あるいは負担の少ない治療で済むなど、患者の方にとって良い場合があります。人生100年時代にいかに健康で長生きするかという社会的課題への取り組みとして意義があるのではないでしょうか。

 ただし、こうした新しい技術はまだ精度が低いという課題があると聞いています。精度が低いと利用者を不必要に不安にしますし、その後さらに検査を重ねることになり、かえって身体的、精神的、経済的負担を増やすことになりかねません。今、スタートアップを含めた多くの企業や大学・研究機関が研究開発を進めているので、精度の向上に期待しています。

 規制が厳し過ぎて新しい技術が社会に出てこなくなるのは困りますが、精度が低いまま社会に出てくるのも新しい技術全体に対する信頼を低下させかねないという点で問題です。個人が安心して使えるように、そして新しい技術を普及させるためにも、精度に対する技術的な認証の仕組みなどがあってもいいと思います。

がんを含めた様々な疾病に対する「未病」の領域への注目が、昨今では高まってきています。

 キャンサーエコシステムにも「未病」の領域がありますが、私たちはキャンサーエコシステムで培った知識・経験を生かして今後広く疾病全般を対象にしたヘルスケア事業でも様々なサービスを提供していきたいと考えています。その場合、この未病の領域は開拓の余地が大きいと思っています。未病の領域では、日常生活における心身の状態のデータをモニタリングするなど、データの収集・分析が重要になります。

 さらに、AI、IoT、ビッグデータなどデジタル技術の進歩により、未病の領域に限らずペイシェントジャーニーのどの領域においてもデータサイエンスが重要になってきます。この点、私たちは、これまでの長年のがん保険や医療保険などの提供を通じて様々なデータを保有しています。こうしたデータをビッグデータとして活用することで、キャンサーエコシステムや広く疾病全般を対象にしたヘルスケア事業において新たな価値を創造していけないだろうか、データサイエンスの積極的な利用も検討しています。