今こそ求められる雇用の維持

コロナ問題は先行き不透明感がありますが、ポストコロナの観光業界、さらには10年後、2030年の観光業で成長する鍵は何だと思われますか? コロナ終息後にどういう復活の仕方をするのか、そもそも復活できるのか、経営者は難しい舵取りを迫られることになりそうです。

 観光業にとり、当面、観光人材をどう維持していくかが重要になると考えます。この未曾有の危機を、雇用を維持しながら乗り切ることは決して容易ではありません。今は業界全体で等しく需要が失われていますが、これが復活したとき、すぐに復活できるところと出遅れるところと差が出てくるでしょう。経営が苦しくても人材を維持した会社は、スタートダッシュが切れるはずです。

 長期的な観点からはインバウンドの動向を気にする方もいますが、私はむしろ国内需要が鍵を握ると考えます。2019年の日本の観光市場は27.9兆円ですが、インバウンドはそのうち4.8兆円に過ぎません。仮に10年後に2倍になっても10兆円、3倍になっても15兆円に止まり、国内需要を上回ることはないでしょう。

 つまり、インバウンドも重要ではありますが、やはり観光業にとって優先すべきは日本人のお客様であり、日本人のお客様を取り込んでいくには、質の高い本物のサービスが求められます。私も長く旅館経営をやってきて、とりわけ目や舌の肥えた50~60代の女性のお客様には鍛えられました(笑)。そうやって培ったきめ細やかな配慮やおもてなしの精神は、海外のお客様からの評価にもつながっているのです。