音の力を使って分娩を支援する──。福岡市に拠点を置くシンフォニアは20数年前にそんなシステムを開発した。以来、産婦人科の医療現場に対し様々な商品やサービスを提供。より良い妊娠から出産までをトータルサポートする。

取り組みはそれだけにとどまらない。現在進行形で新たな挑戦が続いているのだ。医師にとっても患者にとってもwin-winの関係を目指すもので、医療にかかったら、医師の言うことを聞いているだけ、あとはお任せといった、日本の医療文化を変える可能性も秘めている。

同社代表取締役の亀山みゆき氏に、これまでの歩みと今後の展望を聞いた。

 福岡市東区にあるシンフォニアのオフィス。中に入ると、いくつか音楽関係のモチーフが目を引く。壁にはピアノの鍵盤、ドアにはギターの絵が描かれているといった具合だ。

 屋号のシンフォニアはイタリア語で交響曲を意味し、英語ではシンフォニー。その由来について亀山氏は次のように語る。「私はもともと音楽家で、この会社は夫と二人で1993年に音楽制作を主な業務とした個人事務所として立ち上げたんです。当時はテレビやラジオのCM、店舗のBGM、ブライダルの音楽演出などを手掛けていました」。

 ところがその後、大きな転機が訪れる。1995年、二人の間に第一子となる長女が授かったことに端を発する。主治医から、「音楽の専門家なら、お腹の中に赤ん坊がいるあなたが胎教音楽を作ったらいい」と勧められ、実際にCDを制作。すると、産婦人科医の間で口コミで評判が広がり、話題を呼んだのだ。

 それで胎教音楽を作って終わりとはならなかった。主治医の計らいにより、自らの出産時には分娩室で胎教音楽をかけた。だが、陣痛に合わせて呼吸を変えるラマーズ法を本番ではうまくできずじまい。思ったような出産にならなかったことを亀山氏が伝えたところ、主治医から逆にどうすればいいかを問われた。

 「陣痛の様子がわかる分娩監視装置システムと、音響や照明、映像が連動していればいいのではないか」との亀山氏の提案に、主治医はこう答えた。「ならばあなたが作ってみないか」と。

シンフォニア代表取締役社長の亀山みゆき氏(撮影:諸石 信、以下同)
シンフォニア代表取締役社長の亀山みゆき氏(撮影:諸石 信、以下同)
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