病院も“行動変容”する必要がある

 病院も変化していく必要があるでしょう。日本の病院はいまだに特殊な空間というイメージが強く残っていると感じていますが、米国では10年ほど前には既にホテルのような雰囲気を持った病院が登場してきています。日常との境目を極力排除し、堅苦しさがないような雰囲気づくりはあって良いのかもしれません。

 昨今はコロナ禍の影響で、病院へ行くことの感染リスクに注目が集まりました。ただ、がんの場合は受診しないと病状が悪化してしまう可能性があるため、適切な時期に来院してもらうための対策や変化も必要だと痛感しています。

 私たちとしても、新たな情報発信の在り方として、2021年9月に国立がん研究センター内に「がん対策研究所」を開設しました。近年の急速な超高齢社会の進展と医療技術の革新的な進歩などを鑑みて、これまで別々に存在していた「社会と健康研究センター」と「がん対策情報センター」を統合・再構成した組織です(関連記事:がんにまつわる高精度な情報を発信、国がん「がん対策研究所」を開設)。

2021年9月に国立がん研究センター内に「がん対策研究所」を開設。中釜氏は同所長も務める(出所:国立がん研究センター)
2021年9月に国立がん研究センター内に「がん対策研究所」を開設。中釜氏は同所長も務める(出所:国立がん研究センター)
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 がん対策研究所では、これまでに両センターが培ってきた技術や知識、経験を集約し、さまざまな社会医学的な課題に対して効率的かつ戦略的に取り組んでいく考えです。がんに関する情報共有や理解不足の改善につなげていくための情報を発信するだけでなく、具体的な取り組みも進めていく必要があると感じています。

 現状では、明確に示せるような大きな成果は出せていませんが、さまざまなアプローチによって、しっかりとしたエビデンスを示していきたいと考えています。それが我々に課せられた“行動変容”なのかもしれません。(談)

(タイトル部のImage:加藤 康)