運動が生活習慣病のリスクを下げることは、様々な研究から明らかになっているが、運動に関心が少ない層のモチベーションを上げるのは容易ではない。そこで、個人が健康増進活動を行うと、商品やサービスを購入できる「健康通貨」を提供する取り組みが注目を集めている。

 例えば、1日1万歩歩くと10コイン、1カ月禁煙すると100コインなど、報酬としてコイン(ポイント)を受け取ることができる。健康通貨の発行元は、その支払いコストやシステム運用コストを負担する必要があるが、住民や従業員の健康増進活動を促すことで生活習慣病のリスク低減を期待でき、長期的な医療費の削減を狙う。近年注目されている健康経営に寄与する手段として企業の関心も高まっている。

 ロート製薬は今年1月、従業員の健康増進を目的とした「健康社内通貨ARUCO(アルコ)」の運用を開始した。

健康社内通貨ARUCO(アルコ)の仕組み(出所:ロート製薬プレスリリース)

 従業員の1日の歩数や早歩きの時間、運動や禁煙などの健康増進活動に応じて、コインを供与する。従業員は獲得したコインで自社運営レストランが提供する健康食ランチを食べたり、特別休暇を取得できる。

バス乗車ポイントにも交換可能

横浜市が進めているよこはまウォーキングポイント(出所:横浜市の報道資料)

 横浜市は2014年11月から、凸版印刷、オムロンヘルスケアとの共同事業として、「ウオーキングポイント」を実施している。無償で提供される歩数計や歩数計アプリで歩いた歩数を登録、得られたポイントが一定数に達するとクーポンや抽選で商品券や健康器具などが当たるというもの。

 新潟市は2015年7月から、健康増進と環境対策への市民参加を促す目的で「にいがた未来ポイント」を運用している。ウオーキングイベント参加や健康講座の受講などによりポイントが貯まる。ポイントは新潟市・佐渡市共通商品券や新潟交通のバス乗車ポイントに交換できる。

 健康通貨を運営する際には、ポイントシステムの開発・運用コストが大きな負担になるため、単独システムの維持は難しい。このため、新潟市のように企業のポイントシステムを流用したり、仮想通貨と同様のブロックチェーンを利用して低コスト運用を目指す動きもある。

(タイトル部のImage:Goss Vitalij -stock.adobe.com)