食や調理分野のイノベーション「フードテック」への関心が高まっている。その領域は代替肉(オルタナティブ・プロテイン)、レストラン向けロボット、食やキッチンのシェアリングサービスなど多岐に渡る。

 このうち注目領域の一つは「超・個別最適化」である。文字通り、ユーザーの属性や趣味嗜好などに応じて最適な食サービスを提供する動きであり、欧米ではその実現手段としてレシピアプリに注目が集まっている。欧米のレシピアプリの多くは、ビーガンやベジタリアンなど食事のポリシー、保有している調理家電や食材といった個人情報を登録させ、その情報に応じたレシピを絞り込んで表示してくれる。さらに使い込めば使い込むほど、そのユーザーの好みが分かり、レシピ提案や食材の買い物提案の精度が増す。

 個人を特定する要素として今後中心的な役割を担うのが、血液、ゲノム、腸内細菌叢などに基づく「健康データ」だ。消費者の健康状態は定量的かつ詳細に分析されるようになり、それに応じた食サービスが充実するだろう。

国内でも、健康情報に基づく個別最適化サービスを提供しようという動きがある。ユーグレナとジーンクエストは、2018年3月から分析キット「ユーグレナ・マイヘルス」を提供。遺伝子情報や腸内細菌といったバイオデータをもとに、運動習慣、食生活、医薬品、健康食品などカスタマイズされたサービスを受けることができる社会を目指すとしている(出所:ユーグレナ)

 実際、健康状態に関するユーザーのデータを取得しようという試みが欧米のスタートアップ企業を中心に活発になっている。例えば、米Habit Food Personalized社が提供するサービスでは、まずユーザーの体質を分析するための飲料が送られてくる。これを飲んだ後に血液検査を実施することで分かる身体や消化に関する特徴と、「やせたい」「筋肉量を増やしたい」などユーザーが求めるゴールに合わせた栄養素をコーチングしてくれる。さらに、体質に合わせたミールデリバリーやレシピも提供している。

 ゲノム情報や腸内細菌を生かそうというのは米3TandAi社。同社もユーザー情報に基づくコーチングやレシピを提供しているが、最終的にはパーソナライズド・フードを提供することを視野に入れる。

米国のスタートアップ企業3TandAi社は、個人のゲノム、腸内細菌叢、血液、生活スタイル情報をもとに、個人に最適化した栄養サービスを提供しようとしている(出所:米3TandAi)

 「医食同源」と言われるように、健康と食事は表裏一体だ。産業としても、健康医療業界と食業界の結びつきは今後一層強くなるだろう。

(タイトル部のImage:Goss Vitalij -stock.adobe.com)