ソーシャル・インパクト・ボンド(Social Impact Bond;以下、SIB)とは、民間の資金やノウハウを活用して複雑化する社会課題に取り組むための手法の1つ。行政が民間事業者に委託した公共サービスについて、その成果に応じて対価を支払う。事業者に出資した資金提供者は、その対価の中から配当を受ける仕組みだ。成果の測定・評価のための第三者機関や、プロジェクト管理のための中間支援組織を置く場合もある。

SIBの一般的なスキーム
「第三者評価機関」「中間支援組織」については置かないケースもある(図:神戸市などの資料を基にBeyond Healthが作成)

 SIBの歴史はまだ浅く、2010年に英国で実施された刑務所の再犯率低減プログラムが世界初の事例である。日本では、糖尿病の重症化予防事業(神戸市)、大腸がん検診の受診率向上事業(東京都八王子市)、認知症予防事業(奈良県天理市)、健康ポイント利用促進事業(岡山市)など、健康・医療・介護分野での実績が多いのが特徴だ。

 SIB は、事業が成功すれば行政・事業者・資金提供者それぞれにメリットをもたらす。行政は、コストを抑制しながらより効果的なサービスを提供できる。事業者は、報酬が成果と連動することにより、従業員のモチベーション・アップやサービスの品質向上につなげることができる。出資者は、配当を得るだけでなく社会課題の解決に貢献できる。

 成果連動型のサービスは、実施する事業者に資金力があれば、外部の資金提供者がいなくても実施できる。ただし、社会課題解決のための公共的な事業を行うNPOやソーシャルビジネス事業者は、規模が小さく信用力に乏しいことが多い。このため、SIBのような資金調達の仕組みが求められていた。

(タイトル部のImage:Goss Vitalij -stock.adobe.com)