ヒトの身体や臓器、組織の構造や物理特性を再現した構造・機能モデルのこと。単にヒトの外観や生体構造を模擬するだけでなく、センサーを内蔵して生体反応を再現する(図)。

図1●バイオニックロボの分類(図:Beyond Healthが作成)

 内閣府の革新的研究開発推進プログラム(I mPACT)で研究開発が進められた「バイオニックヒューマノイド」は、ヒトや実験動物の代替となるセンサー内蔵の精巧な人体モデルである。具体的には、鼻腔、下垂体、頭蓋底を再現した脳神経外科手術用モデル「Bionic-Brain」、脳血管内治療のための頭部血管モデル「Bionic-Vascular」、眼科領域では、緑内障手術トレーニング用の眼球モデル「Bionic-EyE」が開発された。

 いずれのモデルも硬膜やくも膜、眼底内境界膜などの生体膜組織が精巧に再現され、よりヒトの特性に近くなっている。ヒトの生体組織に忠実な特徴を生かすことによって、動物実験では行えなかった医師の教育や訓練が可能となり、練習の機会が少ない手術分野での医師の育成に役立つ。

 また、モデル内にセンサーを内蔵したことで、内視鏡の鉗子やカテーテルなどの手術器具が内部組織に掛かる圧力などを測定できる。これにより、施術経験豊富な熟練者による手技を目標値として、繰り返しトレーニングできる。

 一方、脳波などの情報を利用して機器を動かすBMI( ブレイン・マシン・インターフェース)技術を応用した医療用機器も、バイオニックロボの一領域と考えられる。脳表面の脳波を読み取り、歩行機能をアシストする外骨格ロボットや腕の上げ下げ、掴む・握ることが可能なロボットアームなどがある。人体の障害機能を代替・補完するだけでなく、麻痺した神経回路の回復も望め、効果的なリハビリテーションを実現できるようになる。

(タイトル部のImage:Goss Vitalij -stock.adobe.com)