一定の条件と期限の下で、薬や医療機器、再生医療製品を早期に承認する、日本で独自に導入された制度。ランダム化比較試験(RCT)による安全性と有効性の証明を前提とした従来の承認プロセスの常識を破るもので、新しい製品をいち早く保険診療下で使えるようにするものとなる。一方で、国内外では拙速ではないかとの批判も上がる。

勃興する再生医療を後押し

 この新制度が生まれた背景にあるのは、日本での再生医療の勃興だ。京都大学教授の山中伸弥氏による2006年のiPS細胞(人工多能性幹細胞)の発見、2012年のノーベル生理学・医学賞受賞などの動きが後押しして、国内で再生医療の早期実用化が求められた。そこで、2014年に旧薬事法(現・医薬品医療機器等法)が改正されて、再生医療等製品を対象として第23条の26に新たに盛り込まれたのが、「条件及び期限付承認」だった。

 再生医療では、対象となる患者数が少ない上に、製品が細胞であり従来の低分子医薬品のように均一ではないため、治療効果が評価しづらかった。対象が稀少疾患であるなど、別の治療と比較する臨床試験が難しいこともあった。そのため、医療界を中心に再生医療の実用化を危ぶむ声が強くなった。

 そうした実用化への溝を埋め合わせたのが法改正だった。法の中では、次の3点に当てはまる「再生医療等製品」に対して、この早期承認の制度が適用される。一つは「均質でないこと」。前述の通り、細胞医療をはじめ治療に使う製品が単一の成分から成り立っていないものの実用化に合った制度設計とした。二つ目が「効能、効果または性能を有すると推定されること」。事前の臨床試験で有効性がありそうだと推定された場合であれば近道が用意された。三つ目が「効果又は性能に比して著しく有害な作用を有して、使用価値がないと推定されないこと」。副作用が大きい治療は除外されることになる。

 その後、2017年7月に医療機器、同年10月には医薬品を対象とする同制度が、厚生労働省の通知に基づいて開始され、次回の薬機法改正で位置付けられることになっている。

 通常、医薬品や再生医療製品の承認を受けるためには、臨床試験によってその安全性と有効性を調べるプロセスを踏む必要がある。3段階の臨床試験を経て、得られたデータから従来治療やプラセボとの優位性や安全性が認められた場合に承認を受けられる。 条件付き早期承認制度では、(1)適応疾患が重篤(2)医療上の有用性が高い(3)検証的臨床試験の実施が困難(4)検証的臨床試験以外の臨床試験などにより一定の有効性・安全性が示される──場合であれば、市販後調査や副作用報告などの条件を付けて承認を先に出してしまう近道を設定している(図1)。

図1●条件付き早期承認制度の概要(出典:2017年11月15日 第3回医薬品医療機器制度部会資料)

 製品発売後、市販後データに基づき、原則7年以内に正式な承認を受けることになる。患者情報を登録して、治療のデータを集約して検証していくのである。 販売後に、患者登録を行うことによる市販後調査を期限までに行うことで、安全性や有効性に問題のある治療がいつまでも存続することを避ける仕組みとしている。