仮想通貨の取引や記録の中核技術である「ブロックチェーン」を、医療分野に応用しようとする試みが出てきている。データの改ざんがしにくく情報の追跡が容易であるため、電子カルテやPHR(Personal Health Record)などのデータを透明性高く共有・活用できる仕組みとして期待されている。医薬品のサプライチェーン管理や医療従事者の資格証明などの用途に応用する動きもある。

 ブロックチェーンは、取引情報をブロック単位で記録し、あるブロックの内容から決定されるハッシュ値(データを暗号化した値)を次のブロックに書き込むことで、各ブロックが経時的な鎖のようにつながっていく技術。1つのブロックを書き換えると連鎖性がなくなるため、データの改ざんが難しい。

ブロックチェーンの基本的な構造(図:Beyond Healthが作成)

 スマートコントラクトと呼ぶ、契約を自動的に行える機能を持つことも特徴だ。ブロックチェーン上で仲介者を介さず、条件が整うだけで情報活用などの契約が実行できる。このため、契約の低コスト化、スピード化、公開による透明性確保や取引の安全確保につながると考えられている。

 ブロックチェーンの医療応用は既に海外で活発になっている。代表例がエストニアの電子政府を実現しているプラットフォームだ。インターネットで電子カルテの利用や処方箋の受け付け、保険請求などができる。自分の情報に対するアクセス記録は、ポータルサイトから確認できるようになっている。

 国内では、福岡県の医療機関が保険会社と実施した実証実験で、保険金支払にかかわる医療情報を安全にやり取りする仕組みとしてブロックチェーン技術を利用した。2018年に実運用を開始した日本医師会の「かかりつけ医 糖尿病データベース研究事業(J-DOME)」もブロックチェーン技術によるプラットフォームを利用している。

(タイトル部のImage:Goss Vitalij -stock.adobe.com)