electronic patient-reported outcomeの略語で、日本語訳は「電子的な患者報告アウトカム」。パソコンやタブレット端末、スマートフォンなどの電子機器を使い、医師ではなく、患者自身が健康状態や生活の質(QOL)などを記録・評価する仕組みを指す。その評価結果は、医師をはじめ他の者による解釈を介さない電子データとして保存される。海外では、医薬品や医療機器の臨床研究や治験での有用性の評価、診療報酬支払いの際の患者満足度の測定などに利用する動きが出ている。

受診と受診の間の健康状態を知る

 患者は、医療機関を受診した際にそれまでの自分の症状などを医師に伝え、医師はそれをカルテなどに記録するのが通常の医療プロセスだ。しかし、受診と受診の間の日常生活において、患者が本当にどのような状態なのかを医師が面接時間内に正確に知ることは簡単ではない。患者もその場で日常の状態を伝え切ることは難しい。

 ePROは、この溝を埋めるものとなる。その項目は、痛みをはじめとする自覚症状から日常生活の活動能力、さらには身体的・心理的・社会的側面を含むQOLまで及び、患者が認識する治療のリスク・ベネフィットに関するエビデンスを直接得ることができる。本格的に研究対象として盛んに論文報告され始めたのは、1990年代に入ってから。当初、紙のPROとして、慢性疾患をはじめ継続的に患者の状態を診る家庭医療の領域や、長期にわたって患者に対応するがん医療の領域で導入が進み、関連した研究論文も増えていった。

 2000年代から2010年代にかけて、インターネットやスマートフォンの普及などにより、患者から医師に情報を伝えることがさらに容易になり、データを取るための検査機器も増加。近年では、EHR(electronic health record)やPHR(personal health record)と呼ばれる、医療機関の管理下にない状態で個人の医療情報を電子的に集めようという考え方も強まり、PROを電子データとして保存・管理するePROが発達した。