QOLや生存率を向上させる
これまでのePROを導入した臨床研究で、ePROが患者の症状改善やQOLの向上、ひいては生存率向上にまでつながることが分かっている。例えば、2016年に、米ハーバード大学の関連施設であるダナファーバーがん研究所の研究グループは、受診と受診の間に、コンピューターを使ってPROを得ることで、QOLの向上や入院の減少などを可能にしたと報告。しかも、寿命の延長にもつながる可能性も示した。
ePRO導入は、研究を実施する側にとっても、被験者の管理負担軽減や入力エラーの回避、被験者のエンゲージメント向上による脱落防止などのメリットがあるとされている。
ePROでは様々な医療データを取得することが可能だが、そもそもどんなデータを取得すべきかを考える必要もある。またスマートフォンでデータを取るにしても、そのためのソフトウエアをどのように構築するかも重要。電子カルテなど既存のシステムとの連携をどう行うかも検討する必要がある。
課題は多く存在するが、今後の医療にこうしたデータの取得が欠かせなくなることは間違いなさそうだ。
[参考文献]
1)BMJ. 1992 Oct 31;305:1068-70.
2)Arch Fam Med. 1994 Mar;3:268-71.
3)N Engl J Med. 2017 Jan 12;376:105-108. doi: 10.1056/NEJMp1611252.
4)J Clin Oncol. 2016 Feb 20;34(6):557-65. doi: 10.1200/JCO.2015.63.0830. Epub 2015 Dec 7.
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