臨床試験で得られるデータではなく、実臨床の現場で得られるデータを指す。電子機器やインターネットなどのICT(情報通信技術)が発達し、臨床現場でのデータを収集しやすくなり、そのデータ分析から、医薬品の効果や副作用などが従来よりもはっきり分かるようになったことから注目されている。

条件付き早期承認制度で熱視線

 日本においてもかねてリアルワールドデータは注目されていたが、大きなきっかけは、再生医療等製品を対象とした条件付き早期承認制度の創設。ランダム化比較試験(RCT)による安全性と有効性の証明を前提とした従来の承認プロセスの常識を破る、日本で独自に導入された制度だ。対象となる患者が少なく、製品が均質でない細胞であるなどの理由から臨床試験での評価が難しい再生医療等製品をいち早く保険診療下で使えるようにするためにつくられた。

 ただし、市販後、原則7年以内に、臨床試験のデータではなく、市販後の臨床現場でのデータに基づいて再評価されるものと定められた。このときに、使われた言葉が「リアルワールドデータ」で、世界中の医学者が注目することになった。

 さらに、日本においては、2017年7月に医療機器、同年10月には医薬品を対象として同じように条件付き早期制度が、厚生労働省の通知に基づいて開始。次回の薬機法改正で位置付けられる予定だ。

 

国関連のビッグデータの活用も進む

 この日本の動きをめぐっては、海外からは、拙速な承認プロセスであるとの議論も巻き起こっている(関連記事)。ただ、それと同時に、リアルワールドデータの活用については、間違いなく注目されており、それによる早期承認を促す検討も始まっている。欧米においては「リアルワールドエビデンス」という言葉もいわれるようになっており、臨床現場で得られたデータを科学的根拠として、承認審査に活用する動きが出てこようとしている。

 さらに、厚生労働省では、国も関連している診療に伴うレセプト情報や特定健診等情報データベース(NDB)、医療情報データベース(MID-NET)などのビッグデータを、リアルワールドデータとして位置づけようとする動きも出てきている。逆に言えば、これまでは臨床現場で生じるデータが、医療の効果や副作用などの検証に十分に活用されてこなかったということでもある。

 今後、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などのデジタルヘルス関連技術の発達により、大量のデータが生まれ、それに伴いその利活用もますます注目されるのは間違いない。リアルワールドデータは、それに関連したホットトピックになると考えられる。


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