スマホアプリやIoTデバイスなどのデジタル技術を活用して医療行為を支援、または実施するソフトウエアなどの製品群のこと。医薬品医療機器等法(薬機法)のプログラム医療機器としての許認可を必要とし、医師の指示の下で単独ないしは医薬品・医療機器と併用して用いる。DTxと略されることや、デジタル治療と呼ばれることがある。いわゆる治療用アプリも、この一つに当たる。

 DTx分野の産業振興を目的に、2019年10月には「日本デジタルセラピューティクス推進研究会」が発足した(関連記事)。医学的エビデンスに基づいた新たな診断・治療法などの適切な価値評価、普及、医療の価値向上を目指した活動を推進していくとしている。

 DTxは医薬品、医療機器に次ぐ、新たな治療法として注目されている。従来の治療法は、医薬品は薬理学的な観点から、医療機器や外科的治療は解剖学的な観点からのアプローチだった。これに対してDTxは、患者の考え方や生活習慣を見直すことで、治療効果を得ようとするアプローチである。

 従来の医薬品・医療機器による管理や介入、効率化が困難だった疾患や患者に対する効果などが期待されている。院外・在宅時にも治療介入が可能になり、治療の空白期間にもフォローできるメリットがある。治療選択の幅を広げ、患者に対して個別にアプローチすることによって治療成績の向上が見込める可能性がある。

 DTxの普及で先行する米国では、2010年にWellDoc社が「Bluestar」という2型糖尿病患者向けの治療補助アプリでFDA(米国食品医薬局)の認証を得た。これを皮切りに、肺がんの経過報告アプリや小児の注意欠陥・多動症(ADHD)アプリ、薬物依存症患者向けアプリなどの実用化が進んでいる。

 日本ではCureAppがニコチン依存症患者向けの治療用アプリの薬機法承認申請を行っており、日本初のDTxが生まれようとしている。同社は引き続き、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療用アプリ、高血圧治療用アプリの実用化を目指している。


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