将来の意思決定能力の低下に備え、自らが受けたい医療・療養について患者・家族と医療・介護従事者があらかじめ話し合うプロセスのこと。アドバンスケアプラニング(ACP)の愛称として、厚生労働省が2018年11月に決定した。同省が作成した啓発ポスターが患者団体から抗議を受けたことから、自治体へのポスター発送を中止して話題になったことは記憶に新しい。

 国内でACPが提唱されたきっかけは、厚生労働省が2007年に発した「人生の最終段階における医療の決定プロセスのガイドライン」で、患者本人の意志が最大限尊重されることが明記されたことだ。その後、海外での研究などを参考にしながら議論が行われてきた。ACPの概念を認知・普及させるため、同省は「人生会議」を愛称として啓発に取り組んでいる。

 ACPの意義は、患者本人の意志を尊重した医療やケアを提供し、尊厳のある生と死を実現することにある。自らの意志を確認できなくなった終末期において、医療従事者や家族などが、その意志を確認するためにACPが重要になる。

 話し合いの主体は患者本人であり、家族を交えて、医療従事者のサポートの上で行われる。患者が望めば、信頼できる友人なども参加することが望ましいとされる。具体的に話し合う内容は、患者の終末期の意向や目標、価値観や気がかり、病状や予後の理解、治療・療養に関する意向あるいは選択、治療・療養の提供体制などが含まれる。

 話し合いの内容は患者の同意の下に記述され、健康状態や生活状況が変わるたびに繰り返し話し合い、見直すことが大切とされる。見直しが必要される理由は、患者の価値観の変化、あるいは医療従事者からの情報などによって受けたい医療やケアが変わる可能性があるからだ。

 そして、これら記述・保存された記録は、治療・療養にかかわる人々の間で共有することが大切である。また、患者が自ら意思決定ができなくなったときに備えて、患者に成り代わって判断を委ねられる信用できる人を選定することも重要とされる。


(タイトル部のImage:Goss Vitalij -stock.adobe.com)