パチンコや競馬・競輪などの公営競技のような賭け事へ過度にのめりこむことで自己制御できなくなり、日常生活または社会生活に支障が生じ、治療を必要とする状態のこと。公式な病名は、世界保健機関(WHO)では「病的賭博」、米国精神医学会のDSM5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)では「ギャンブル障害」とされている。日本精神神経医学会がDSM5に基づいて作成した「DSN-5病名・用語翻訳ガイドライン」(初版)でも、「物質関連障害および嗜癖性障害群」の中で「非物質関連障害群」としてギャンブル障害を明示している。

 「ギャンブル等依存症対策基本法」が2018年10月5日に施行。2020年度診療報酬改定で保険適用が検討されている。背景には、カジノを含む統合型リゾート(IR)の開業を可能とするIR実施法が2018年7月に成立し、依存症対策が課題となっていることがある。政府のギャンブル等依存症対策推進基本計画では、策定した基本計画に沿って都道府県、事業者はそれぞれの実情を踏まえて具体的な計画を策定し、対策を推進することになっている。

 ギャンブル障害の診断基準では、負けを取り戻そうと深追いする/望むような興奮を得るために掛け金を増額する/苦痛な気分(無力感、罪悪感、不安、抑鬱)を解消するためにギャンブルを繰り返す/大切な人間関係や仕事・学業で危機を経験した、など9項目のうち過去12カ月で4項目以上あると診断される。

 治療には薬物の効果は確立されておらず、心理療法・精神療法が試みられる。具体的には、アルコール依存症や薬物依存症で有効とされている集団精神療法、認知行動療法、内観療法などである。日本医療研究開発機構(AMED)は、2016~2018年度に行った「ギャンブル障害の疫学調査、生物学的評価、医療・福祉・社会的支援のありかたについての研究」で、ギャンブル依存症に対する認知行動療法を主体とした全6回の標準的治療プログラムを開発。医療機関で実施した比較試験で、その効果を実証した。

 検討されている2020年度診療報酬改定での公的保険適用においては、数人から10人程度の患者グループでギャンブルにのめり込んだきっかけや対処法などについて考える「集団治療プログラム」を対象として想定している。


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