SDGsの動きとも符号

 国連調達に対して製品やサービスを供給するために、WHO事前認証を受けることは国際展開を進める上で価値が大きいといえるだろう。企業にとっては新興国での薬事承認のハードルをうまく越え、自社製品の信頼を得ることにもなる。国連調達を突破口に、その先には同様な国際公共機関への製品などの供給にもつなげられる可能性も出てくる。新興国に深く事業の根を張ることができれば、2兆円どころではない大きな市場にアプローチできる。

 視点を変えると、国連調達が注目される背景には、新興国の経済発展がまずある。2000年代から、米国企業が新興国での製品開発や生産を本格的に開始。それまでは先進国の中で開発した製品やサービスを新興国に提供する形を取ったが、新興国のニーズに合わせて、独自の製品やサービスを作る動きへと変わっていた。先進国が新興国へと事業を広げていく中で、国連調達は存在を増したところがあるだろう。

 さらには、先進国や新興国といった枠組みを越えた普遍的な価値を持つ製品やサービスが求められる。地球温暖化や環境破壊、労働搾取などの国際問題も表面化する中で、SDGs(持続可能な開発目標)の動きが国連で提唱され、持続的可能性へと発想転換が起こっている。SDGsの中では、ヘルスケアの領域でも、「ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)」という考え方が重視される。「全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保険医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」を目指すものだ。

 新興国で生まれた製品やサービスが先進国に逆輸入され、革新的な製品やサービスとして受け入れられるリバースイノベーションの動きも出ている。新興国への関わりを深くすることは、単純にマーケットを広げるだけではなく、企業全体の価値を引き上げる意味合いも帯びる。

 新しい形での事業の国際展開が求められる中、国連調達への参入はますます注目されることになりそうだ。


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