新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界規模で拡大し、死亡例の報告も増えている。日常生活や経済活動などへの影響が強く懸念される中で待望されているのが、COVID-19に対するワクチンの実用化だ。

 国内では、大阪大学発バイオベンチャーのアンジェスが3月5日に開発着手を発表した(関連記事)。三菱ケミカルホールディングスグループの田辺三菱製薬も、3月12日にカナダの子会社での開発着手を明らかにした。海外企業でもワクチン開発の動きは広がり、ウイルス征圧への貢献が期待されている。

なぜウイルスが無力化するか

 そもそもワクチンを接種することでなぜ病気の感染を防げるのか。それは病原体の持つタンパク質などを体内に入れることで、もともと備わっている免疫反応を引き出す「抗原」とすることができるからだ。抗原を免疫を担う細胞に取り込ませることで、感染を防ぐ仕組みを発動させる。例えば、病原体を無力化する「抗体」と呼ばれるタンパク質を作り出せたり、病原体を攻撃する細胞の増殖を促したりする。いざ病原体が体内に侵入したとき、時間を置かずに免疫反応によって感染の成立を阻止できる。

 ワクチンの形態は様々。病原性の低い生きたウイルスを接種する「弱毒化ワクチン」のほか、薬品や熱で病原体の機能を失わせた「不活化ワクチン」、病原体の持つタンパク質やDNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)などを接種するタイプのワクチンもある。現在開発が進められている新型コロナワクチンは、コロナウイルスに関連したDNAやRNAなどの構成成分を接種するタイプが次々と報告されている。