雑念を抱かずに、今の瞬間に集中する心の状態を目指すこと。マサチューセッツ大学にマインドフルネスセンターを創設したジョン・カバット・ジン氏は、マインドフルネスを「今ここでの経験に評価や判断を加えることなく能動的な注意を向けること」と定義している。

 マインドフルネスという概念は、仏教の瞑想に由来する。瞑想自体は5000年の歴史があるとされ、座禅などさまざまな形で実践されてきた。その考え方や行為を現在のマインドフルネスとして世界に広めるきっかけを作ったのが、ジョン・カバット・ジン氏である。

 同氏は、呼吸や瞑想を通じて今この瞬間に心理的注意を向ける訓練を行うマインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)を提唱した。出来事や感情、思考などを客観的に捉えることを目的とした訓練である。当初は医学的治療で十分な効果が得られなかった慢性疼痛患者などに用いられてきたが、精神的な落ち着きをもたらすという効果が注目を集め、医療だけでなくビジネスやスポーツなどの領域にもマインドフルネスが活用され始めた。

 本来、マインドフルネスは特定の状態を目指すための手段ではなく、自分の状態や起こる出来事をあるがままに受け止めることを指す。ただし、マインドフルネスを実践することで、結果として、集中力や生産性が向上したりストレスが低減したりするといった報告がされている。

 2000年代からは、グーグルやアップル、ゴールドマンサックスなど米国の大手企業が社内研修にマインドフルネスを続々と取り入れ始めた。その後、健康経営の重要性が叫ばれ始めた日本でも、従業員へのマインドフルネス研修が徐々に浸透し始めている。