医療従事者が使うマスクやガウン、フェイスシールドなどの個人防護具(PPE)を、手に入れやすい材料で代替する方法を動画やデータで世界に発信する取り組み。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急速な広がりで、医療機関におけるPPE不足が問題視される中、欧米を中心に広まっている動きである。

 本来、感染症の疑いがある患者を診察する際に医療従事者が身に着けるPPEは単回使用が原則で、一処置ごとに交換するのが望ましい。しかし、COVID-19の急速な感染拡大のために在庫確保が十分にできず、やむを得ず交換回数を減らしたり、代替品を使い始めたりしている医療機関も多い。米ニューヨーク州では、ガウンが足りないため、医師がごみ袋を被って治療に当たる様子が報道された。

 こうした事態に陥った場合、従来は他国に緊急輸出してもらうことで対応してきたが、COVID-19は感染地域が全世界に広がっているため、他国からの輸入には頼れない。

 そこで始まったのがPPE Challengeだ。輸入に頼らずに、どの地域でも手に入れやすい材料を使って、できるだけ簡単に作成できるPPE代替品の作り方が、続々と発信されている。

 米Budmen社は、3Dプリンターで製作できるフェイスシールドの3Dプリンター用データや製作手順をウェブ上で公開している。フェイスシールドのバイザー部分を3Dプリンターで作り、プラスチックシートと組み合わせる仕様だ。ホームページには、フェイスシールドが不足している医療機関のリクエストフォームと、個人や企業が所有する3Dプリンターでフェイスシールドの製作に協力したい人の登録フォームも用意されている。

 チェコ工科大学などの研究チームは、3Dプリンターで作る医療従事者用マスクを開発。マスクのフィルターは、微粒子ろ過率が99%以上であるFFP3クラスに相当する性能を持ちながら、消毒や滅菌をすることで繰り返し使うことが可能だ。ライセンス契約に同意すれば、製作に必要なデータをウェブからダウンロードすることができる。ただし、現在のところはチェコ国内での製作に限って認めているようだ。