クルマやバス、電車などの交通手段を、単なる移動手段ではなく新しいサービスとして活用すること。Mobility as a Serviceの略。

 これまでは自家用車以外の交通手段をICTでつなぐといった交通の最適化に向けた取り組みが目立っていた。ところが、ここにきてヘルスケア領域にもMaaSが活用され始めている。

 フィリップス・ジャパンは、MaaSを活用し、専用車両によってヘルスケアのサービスを受けられる拠点を移動可能にする「ヘルスケアモビリティ」の実現を目指している。医師不足の地域や通院が難しい人への対策として打ち出したコンセプトである(関連記事:フィリップスが目指す「ヘルスケアモビリティ」とは何か?)。

 2019年12月には、長野県伊那市での実証事業を開始。2021年3月末までの実証事業期間で、主にオンライン診療を中心とした有効性を証明することを狙っている(関連記事:いざ出発!ヘルスケアモビリティ)。

 具体的には、看護師などの医療スタッフが専用車両で患者の自宅を訪問し、車両内に設置したテレビ電話を使って医療機関にいる医師が患者を診察する。看護師は医師の指示に従って患者の検査や必要な処置を行うことを想定している。

長野県伊那市の実証実験で使われている車両(写真:上野 英和)

 さらに同社は、2020年1月に山梨県山梨市および公益財団法人山梨厚生会と共同でヘルスケアモビリティに関するプロジェクトの開始を発表した。伊那市の実証事業とは異なり、ホームケアに特化した検証を進めていくという(関連記事:フィリップス、山梨氏でもモビリティ活用のヘルスケア)。

 横浜国立大学は2019年11月、ヘルスケアとモビリティを結びつけた新たな産業「ヘルスケアMaaS」を創出するための研究拠点を湘南ヘルスイノベーションパークに設置したと発表した。湘南ヘルスイノベーションパークは、武田薬品工業が湘南研究所を開放して設立された産学官連携の場である(関連記事:タケダの敷地に出現した「湘南アイパーク」とは何か?)。

 今回の連携について、湘南ヘルスイノベーションパーク ジェネラルマネジャーの藤本利夫氏は、「横浜国立大学が多くの企業との連携で、移動の概念をどのように再定義して、医療と交通の在り方を変えていくのか楽しみにしている」と語った。