手足やのど、舌の筋肉、呼吸筋などを動かす運動神経細胞(運動ニューロン)が変性して起こる病気。発症すると徐々に体を動かすことが困難になり、呼吸筋もやせていき麻痺が生じて呼吸不全を来すようになる。病気の進行に個人差があるが、呼吸障害が顕著になると、人工呼吸器の装着が欠かせなくなる。一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能は保たれるため、患者の苦痛緩和やコミュニケーション障害への対策が大きな課題になる。

患者の苦痛への認識広がる

 ALSは国の指定難病の一つで、2018年に特定医療費支給認定を受けた患者は9805人となっている。患者のおよそ9割は原因不明の「弧発性」、残り1割弱が遺伝の関与が考えられる「家族性」に分類されている。病気は進行性で症状を遅らせる薬があるものの、病気の根本的な治療は困難な状況が続いている。

 国内で発病する人は1年間に10万人当たり1~2.5人と多くないものの、戦前に米国で活躍したプロ野球人気選手、ルー・ゲーリック氏の罹患により「ルー・ゲーリック病」として広く知られてきた。国内でもテレビ番組『クイズダービー』の出演で親しまれた大学教授の篠沢秀夫氏や、最近では美容家の佐伯チズ氏が罹患を公表し亡くなるなど、病気の治療の難しさが著名人の罹患を通してその都度報じられており、認知のきっかけとしては大きな影響を与えてきた。

 この7月には、2人の医師がALSを患った女性の嘱託殺人に関与した疑いで逮捕されている。女性は医師に依頼し、睡眠薬の大量投与を受けたとみられる。患者女性は安楽死を希望していたと報じられ、病気の苦痛をいかに取り除くかが大きな課題であることを改めて認識させる事件となった。