フランス生まれのケア技法。フランスの体育学の専門家であるYves Gineste氏とRosette Marescotti氏が開発した。フランス語表記のHumanitudeは、人間らしさを取り戻すという意味を持つ造語である。

 ユマニチュードは、ケアを通じて「あなたは私にとって大切な存在」ということを伝えることを目的とする。そのために、「見る」「話す」「触れる」「立つ」をケアの4つの柱とし、これらの要素を一連のケアの手順に取り入れている。

 例えば、「見る」を通じて相手を大切に思っていることを伝えるためには、ケアをする対象者と目の高さを合わせて、正面の近い場所に立つことが重要である。それによって、相手と平等な関係であることや親しい関係であること、相手に対して正直であることを伝えられるからだ。一方、ベッドで寝ている人に対して立った状態で話しかけてしまうと、見下ろされる格好になり、そんなつもりがなくても威圧感を感じるなど否定的な印象が伝わってしまう。

 「話す」ときには、低い声で前向きな言葉を選び、大きすぎない声で話すことで、安定した関係を築き、穏やかで心地良い状態を創り出すことができる。ケアを行う際に無言の状態を作るのは、「あなたは存在していない」という否定的な印象を与えてしまい、好ましくないという。もしも、相手から返事が来ずに無言になりそうな場合は、前向きな言葉を使いながらケアの実況をすることで、無言の状態になることを防げる。

 「触れる」際には、広い面積で触れることやつかまないこと、ゆっくりと手を動かすこと、の3つのポイントを意識することで、優しさを伝えることができる。特に、つかむ行為は、相手の自由を奪ってしまうため、認知症行動心理症状のきっかけになってしまう可能性もあるという。触れる際には、できるだけ鈍感な部分である背中や肩、ふくらはぎなどから触れ始め、次第に手や顔などの敏感な場所に進むと良いとされる。

 「立つ」ことは、人間らしさを体現できる要素の一つである。ユマニチュードを開発したYves Gineste氏によると、1日合計20分間立つ動作を行うことで、立つ能力が維持でき、寝たきりになることを防げるという。そのため、ユマニチュードでは、日常生活でできるだけ立つ時間を増やすようなケアを実施している。

 ユマニチュードでは、これら4つの柱を組み合わせて、全てのケアを(1)出会いの準備、(2)ケアの準備、(3)知覚の連結、(4)感情の固定、(5)再会の約束、の5つのステップで実施する。

 (1)の出会いの準備は、自分が訪れたことを相手に知らせて、相手の領域に入って良いという許可を得ることである。(2)のケアの準備では、ケアを行う合意を得る。(3)の知覚の連結でケアを行い、(4)の感情の固定では、ケアの後にお互いが良い時間を過ごせたことを振り返る。最後に(5)の再会の約束によって次のケアを受け入れてもらうための準備を行う。