評価項目が、建築物の物理的な性能にとらわれずに設定されているのはwell-beingに焦点を当てているからこその特徴だ。例えば、食事を取れる環境という分野では、単に食事を取るのに適した環境があるというだけではなく、食事が販売されている場合には果物や野菜を選択できるのか、健康的な食品を選べるかなど、健康の問題にも踏み込んでいる(表1)。

表1●WELL認証第2版の評価項目の一部 その他、運動、温熱快適性、音響、材料、心、コミュニティ、革新といった評価項目がある。(出所:グリーンビルディングジャパンのウェブサイト)

 他にも運動という分野が設けられ、体を動かす環境があるのかという評価項目があるほか、心やコミュニティといった分野ではストレスを与えない工夫があるか、ライフワークバランスを保った働き方を実現しているかなどが問われる。こうした評価項目ごとに点数が設定されており、それらの合計によってプラチナ、ゴールド、シルバーの認証が付与される。

 冒頭の通り、世界各国での認証プロジェクトを進めており、多くは米国と英国のプロジェクトになっているが、日本でも42の認証プロジェクトが進行している。我が国で最初に認証を受けたのは大林組技術研究所で、このほかイトーキが2018年に移転開設した新本社「ITOKI TOKYO XORK」に対して認証を受ける(関連記事)など認証件数はさらに増えていくとみられる。

 オフィスや住居、店舗などをどう使えば健康に良い生活が実現できるのか様々な研究が行われており、その成果が社会実装できるようになっている。漫然と建築物を使うのではなく、エビデンスに基づいた環境づくり、利用の在り方が求められている。WELL認証のような仕組みは日常生活にいかにヘルスケアの発想を取り入れていくかを考える好機であるといえるのかもしれない。


(タイトル部のImage:Goss Vitalij -stock.adobe.com)