対策型検診は、公共の予防対策として実施されるもので、自治体が行う住民検診や企業の健康保健組合が行う職域検診が含まれる。一方、任意型検診は公共の予防対策ではなく、個人の死亡リスクを下げるために行われ、医療機関などが文字通り任意で実施するもの。人間ドックや総合検診などと呼ばれる検診を含む。

 対策型検診と任意型検診の大きな違いは、集団としての死亡率減少効果が示されているかどうかという点。対策型検診で行われる検診内容は、科学的に集団の死亡率の減少効果が認められたもの。市町村や企業などの実施機関は、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」に沿い、集団としての住民の死亡率減少効果があると示された内容の検診を実施する。それに対して、任意型検診ではこうした指針によらずに検診メニューを組んでいる。

 前述の厚労省の指針で示されているがん検診は、胃がん検診、肺がん検診、子宮頸がん検診、乳がん検診、大腸がん検診。それぞれについて、実施対象者、実施頻度、実施方法などの条件も明記されている。例えば、胃がん検診であれば、50歳以上を対象として原則として2年に1回、胃エックス線検査または胃内視鏡検査を行うよう求めている。こうした条件は、検診を受けることで、病気の人を見落としたり、病気ではない人を過剰に拾い上げたりするようなデメリットが出ないよう、やはり科学的な根拠に従って定められている。

任意型検診にも科学的根拠は求められる

 任意型検診で行われる検診内容は、必ずしも集団として科学的に死亡率減少効果が証明されていないが、個人の死亡リスクを下げる科学的根拠が何らかの研究で示されたものが行われている。実施する医療機関は、受診者に対して検査を受ける意義についての情報提供を行い、受診者の選択を助けるよう求められる。

 例えば、各種のがんの罹患を予測するための血液検査によるがんのマーカー測定は、集団として死亡率を下げる検査にはなっていない。ただし、個人のがんの可能性を知るための情報の一つになると考えられており、任意型検診で採用される検査項目の一つになっている。

 自己負担についても違いがあり、対策型検診は公共政策として実施されるため、公的な資金が使われ、受診者は無料あるいは少額の自己負担だけで受けることができる。国や自治体も対策型検診の受診率を高めるために住民に積極的に働きかける。それに対して、任意型検診は原則として全額自己負担となる。企業や健康保健組合によっては、個別の判断として条件を設けた上で補助を出すことで自己負担の低減を図っている場合もある。

 最近では、新たなスクリーニング技術が確立され、実用化の動きもある。こうした新規の検査は、任意型検診の検査項目として採用されるケースも出ている。



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