現実空間(フィジカル空間)を仮想空間(サイバー空間)に再現すること。現実空間にある多様なデータをセンサーネットワークなどで収集して仮想空間に送り、現実空間と同じ状態・状況を再現する。文字通り、「デジタルの双子」。「サイバーフィジカルシステム」という言葉も、広義では同じ概念を示すとされている。

 製造業の分野でよく使われる概念である。例えば、現実空間の機械や設備にセンサーを設置し、その状況を仮想空間上で再現する。仮想空間において、機械・設備をシミュレーションしたり、分析・監視したりすることで、現実空間の予防保全などにつなげる狙いだ。

 AIやIoT、5Gといったテクノロジーの後押しを背景に、ヘルスケア分野でも、こうした概念が用いられるようになってきた。現実空間における人の様々なデータを基に、仮想空間上に“双子”の人間を再現。シミュレーションや分析をすることで、健康状態の変化を予測したり、予防医療につなげたりできる可能性がある。

 医師であり、医療向けXRシステムを開発するHoloeyesの創業者でもある杉本真樹氏は、ベテラン医師たちの経験やスキルが仮想空間上に常に存在し、現実と常に同期するデジタルツインが実現される世界を描く。これまでの集合知が若手医師に指導したり、画像の中から異変を見つけたりするなど診療時の判断補助もできるようになるという世界である(関連記事:時空を超えたスキル共有、いよいよ現実に)。

 京都大学大学院医学研究科 医療情報学 教授の黒田知宏氏は、「日本医学会総会 2019 中部」において、「医療・ヘルスケアもサイバーフィジカルシステムの仕組みへと変貌していく」と講演している(関連記事:医療・ヘルスケアも「サイバーフィジカルシステム」の仕組みへ)。


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