プレシジョンニュートリション(precision nutrition)とは、遺伝子情報などで明らかになった個人の体質に合わせて適切な食事(栄養)を提案するという考え方。疾病の発症リスクを低減させるためのアプローチとして注目されている。個別化栄養ともいう。

 プレシジョンニュートリションによる疾病の発症予防の具体的な流れはこうだ。まず、個人の遺伝子検査を行う。検査では、DNA中の1つの塩基が別の塩基に置き換わったものであるSNP(single nucleotide polymorphism)や遺伝子コピー数に影響を与えるような変異であるCNV(copy number variant)、ゲノム配列の大きな変化である構造変異などの検出を行い、遺伝的な特徴を捉える。

 遺伝子検査の結果と、血液検査や尿検査、腸内細菌、生活習慣調査、既往歴、家族歴などの現在の個人の状態を反映する指標を統合し、データベースと照らし合わせる。過去のデータと比較して疾病の発症リスクを予測し、個別化された食事を提案していくという流れである。

 特に、肥満や糖尿病、高脂血症、高血圧、がんなどの発症予防に応用できると考えられている。個別化された食事を摂取した後の生体応答データを収集できれば、データベースを拡充させてリスク予測の精度を向上させることも期待できる。

 欧米では、プレシジョンニュートリションを活用した事業を展開する企業も登場し始めている。ジーンクエスト 代表取締役 兼 ユーグレナ 執行役員の高橋祥子氏によると、多額の資金調達に成功している企業が相次いでいるようだ(関連記事:“100ドルゲノム”時代の未来図、遺伝子レベルで「食品」や「家」も提案)。個人向けゲノム解析サービスが普及し始めたことでプレシジョンニュートリションの考え方を応用できる土台ができ、今後はより精密に個別化された健康づくりや疾病の発症予防が加速していくだろう。

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