マイクロバイオームとは、ヒトの体内に存在する微生物の集合である微生物叢(マイクロバイオータ)が持つ遺伝情報(ゲノム)のこと。次世代シーケンサーが開発されたことで、マイクロバイオームの研究は近年活発に行われており、ヒトの健康や疾患と関連することが明らかになり始めている。

 米国国立衛生研究所(NIH)は、2007~2016年にヒトマイクロバイオームプロジェクト(HMP)を主導し、マイクロバイオームが人間の健康にどのような影響を与えるかについての研究を行った。約300人の被験者を対象に鼻腔や口腔、皮膚などから検体を採取したところ、健康なヒトの体内にも疾患を引き起こすことが知られている微生物が保持されていることが明らかになったという。

 2021年1月には、東北大学東北メディカル・メガバンク機構が、1000人規模の日本人集団を対象に口腔マイクロバイオームを比較した解析結果を発表した。唾液と歯垢のそれぞれのマイクロバイオームを比較したところ、唾液で232種類、歯垢で259種類の特異的な配列が見つかったという。

 さらに、歯周病のある人は、唾液と歯垢のそれぞれで微生物の種類が増加することも明らかにした。今後は、口腔マイクロバイオームの全身疾患への関与を明らかにするため、慢性閉塞性肺疾患や代謝性疾患、糖尿病などの疾患を持つ集団を対象に、唾液や歯垢、舌苔の微生物ゲノム解析を推進していきたいとしている。