健康サポート薬局とは、「かかりつけ薬剤師・薬局」としての基本的な機能を備えた上で、地域住民の健康づくりを積極的に支援する「健康サポート機能」を持つ薬局のこと。健康寿命の延伸を目指し、少子高齢化により変化する社会や医療・介護の提供体制を、薬局薬剤師にも支えてほしいという国の考えに基づき、2016年2月に創設された。

 OTC薬を含め医薬品に関することはもとより、介護や食事・栄養摂取、生活習慣など健康にまつわる様々な相談にも広く応じる。厚生労働大臣が定める基準をクリアし、都道府県知事に届出を行った薬局だけが、健康サポート薬局と表示できる。

 届出の開始は2016年10月。以来4年半が経過するが、全国に約6万店舗ある薬局のうち、健康サポート薬局は2020年9月末時点で2247店にとどまる。

 数が伸び悩む要因としては、ハードルの高さを挙げる声が少なくない。健康サポート薬局を名乗るには、多岐にわたる書類の提出に加え、様々な取り組みや実績が必要で、例えば実務経験が5年以上あり所定の研修を修了した薬剤師の常駐、24時間対応、在宅医療の実践、プライバシーに配慮した相談窓口の設置などが求められる。また、OTC薬や衛生材料・介護用品もある程度の品ぞろえが欠かせない。

 それでいて、健康サポート薬局として届け出て活動しても、現在のところ、特別な調剤報酬は用意されていない。届出が低調な背景には、そうした直接的な経済的リターンのなさも関連しているとみられる。

 全国に2200店あまりしかないこともあり、健康サポート薬局に対する世間の認知度は著しく低い。内閣府が2020年10月に郵送で実施した「薬局の利用に関する世論調査」では、健康サポート薬局に関し、「よく知っていた」(1.5%)と「言葉だけは知っていた」(6.5%)で合わせても8%にとどまり、「知らなかった」が91.4%を占めた。

今年8月には新たな薬局認定制度がスタート

 薬局をめぐっては、2019年に成立した改正医薬品医療機器等法(薬機法)により、今年8月から新たな認定制度がスタートする。特定の機能を有する薬局を国が認定する制度で、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の二つが設けられる。前者は、患者の入退院時に医療機関と連携したり在宅対応などを行ったりしながら、一元的・継続的に対応できる薬局、後者は癌などの治療を行う専門医療機関と連携して専門的な薬学管理を担う薬局で、ともに都道府県知事による認定を受けて薬局機能を標榜できる。

 このうち地域連携薬局と健康サポート薬局の区別がわかりにくいという指摘が国会の質疑の場で取り沙汰され、薬局の現場からもいまだに戸惑う声が多く聞かれる。厚労省によると、「地域連携薬局は、疾病にかかっている患者が地域の多職種の中でしっかりケアできるようにハブとなる薬局であり、健康サポート薬局は疾病にかかる前の未病の段階から、地域の住民を巻き込んで健康情報を発信するなどのプッシュ型のもの」であるという。要は、病気になった後か、病気になる前からの関わりという整理だ。

 なお、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の認定薬局には2022年度以降の調剤報酬改定で何らかのインセンティブがつく可能性も出ている。そうなると、ハードルの高い健康サポート薬局の届出が敬遠され、同制度が形骸化する恐れもある。

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