プレゼンティーイズム(presenteeism)とは、病気欠勤を示すアブセンティーイズム(absenteeism)の反対語としてつくられた造語。従業員が出勤はしているものの、体調不良や心身の病気で業務効率が上がらず、生産性が低下している状態を指す。

 勤怠管理上、表には出づらいが、企業にとって医療費やアブセンティーイズムを上回る損失コストであることを示す研究が増えており、改善すべき経営課題として注目を集めている。放置すると、業績はもちろん、ブランド価値の毀損につながる可能性がある。

 プレゼンティーイズムへの取り組みで課題となるのが、投資コストの問題だ。プレゼンティーイズムの要因を大きく分けると、(1)頭痛などの運動器・感覚器障害、(2)メンタルヘルスの不調、(3)心身症(ストレス性内科疾患)、(4)生活習慣病、(5)風邪や花粉症などの感染症・アレルギーが挙げられるが、これら全ての対策を単独で行うのは至難の業。健康保険組合と企業が一体で取り組むコラボヘルスなどの推進が期待される。

 プレゼンティーイズムの背景として、「少しくらい体調が悪くても、出社するのが当たり前」など、誤った美徳による弊害を指摘する声もある。社員の意識改革が必要となる一方、コロナ禍により在宅勤務が増えた今後は、よりきめ細かな健康管理の仕組みを整える必要もあるだろう。

 米国商工会議所が2016年に発表したレポートによると、2015年における日本のプレゼンティーイズムとアブセンティーイズムによる労働損失は、GDP(国内総生産)の3.8%で、2030年には4.1%になることが予想されている。ESG投資の拡大により、企業の社会に対する責任がより厳しく問われる中、プレゼンティーイズムへの対応の重要性が増しているのは確かだろう。

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