タスク・シフトとは、医師の仕事の一部を看護師など他の職種に任せること。タスク・シェアとは、医師の仕事を複数の職種で分け合うことを指す。いずれも、医師への業務集中を軽減する狙いがある。日本全体で「働き方改革」が推進される中、医師の労働時間短縮策の一つとして注目されている。

 政府が「一億総活躍社会」の実現に向けた取り組みとして、働き方改革を声高に叫び始めたのは2016年。その後、2018年6月にいわゆる「働き方改革関連法」が成立し、一般労働者に残業時間の上限が設けられた。大企業は2019年度、中小企業は2020年度から適用されたものの、医師は「応召義務」などの特殊性から5年間の猶予期間が設けられ、2024年度からの適用となった。

 その間、医師の働き方をどうするか、関係者による検討が進んだ。2017年4月には厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が報告書を取りまとめ、そこで初めて、医師と他の医療職間で行う「タスク・シフティング(業務の移管)、タスク・シェアリング(業務の共同化)」を提言。具体的には、新たな「診療看護師」の養成や、薬剤師による調剤業務の効率化、フィジシャン・アシスタント(PA)の創設などを盛り込んだ。

 続いて、同年に新たに設置された「医師の働き方改革に関する検討会」でも、タスク・シェアやタスク・シフトを進めていくべきとの結論が得られた。そこで厚労省は2019年10月、「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」を組織して、タスク・シフト/シェアが可能な医療行為の洗い出しを行った。結果、その数は約300に及び、現行制度の中で対応可能なもの、実施可能か明確ではないもの、法改正が必要なものに分けて整理された。

 タスク・シェアおよびタスク・シフトが行われる他職種として想定されているのは、看護師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士、義肢装具士、救急救命士、医師事務作業補助者。

 このうち看護師については2015年に「特定行為に係る看護師の研修制度」が創設されており、実質的にタスク・シェアおよびタスク・シフトが促されてきた経緯がある。特定行為研修を受けた看護師は、「特定行為研修済み看護師」として気管カニューレの交換や人工呼吸器の離脱など38行為を、医師の指示の下で、手順書に従って行える。

 現在、同様に研修を実施することで診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士が単独で特定の医療行為を行えるようにする法改正への検討も進んでいる。例えば、診療放射線技師であれば、造影剤を使用した検査やRI検査のために静脈路を確保する行為などだ。