ドローン配送とは、無人航空機である通称「ドローン」を使った物資の配送のこと。ヘルスケア領域でも注目が集まっている。例えば2020年7月には、旭川医科大学、ANAホールディングス、アインホールディングスなどが協力し、北海道でドローンを使った処方医薬品配送の実証試験が国内で初めて行われた。

 最近では、新型コロナウイルス感染症の問題が収束しない中で、オンライン診療の活用への期待が高まっている。遠隔地から診療をした場合に、処方箋に基づいた医薬品を時間を置かずに自宅にいながら受け取る方法として、ドローン配送は配送時間の短縮や物流コストの削減などから注目される。

 この他、緊急時医療活動訓練や、血液・医療資機材の搬送などへの活用も期待されている。ドクターヘリなどとの連携による物資や血液などの配送も想定される。

 ドローン配送が注目される背景には、物流環境の大きな変化がある。医薬品に限らず、オンラインショッピングが当たり前になり、小口の荷物を頻回に配送する状況が常態化している。国土交通省の統計によると、1990年前後と比べると、2010年代以降は貨物1件当たりの貨物量は半減し、物流件数は1.8倍に拡大している。

 貨物の変化に対して、物流分野を担う労働力不足が顕在化しており、運輸業や郵便業の7割近くで人手不足に陥っている。少子高齢化で補う人的資源がない中で、ドローンを使った無人での物流は窮状への有効策と見なされる。

緊急時の医療物資や血液の配送も想定

 2015年には国も「未来に向けた官民対話」において、3年以内にドローンを使った荷物配送の実現を表明していた。国土交通省の「総合物流施策大綱」において2017~2020年度にかけてドローン活用により物流効率化や省人化を進めると明示。2018年の「未来投資戦略会議」においても、「山間部等での荷物配送等の本格展開に向けて、航空法に基づく、許可承認の審査要領の早期改訂等を行う」と示している。その先に冒頭の医薬品の配送の実証試験などがある。

 首相官邸が開催している小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会で2020年7月に示した「空の産業革命に向けたロードマップ2020」の中には、ドローン配送を可能とするための法改正を含めた環境整備および技術開発のプロセスが挙げられている。所有者情報の把握、機体の安全性確保、操縦者等の技能確保、運航管理に関するルールづくり、システムや電波利用などの課題が示されている。


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