NMNとは、ニコチンアミドモノヌクレオチドの略称で、ビタミンB3からつくられる食物成分のこと。抗老化成分として注目度が増しており、成分を凝縮したサプリメント(NMNカプセル)による老化制御法が人気を集めている。

 NMNを理解するのにまず覚えておきたいのが、NMNとNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)との関係だ。NADは細胞内のエネルギー産出に欠かせない補酵素で、老化制御に重要な役割を果たすとされるサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化させる機能を持つ。NMNはNADの前駆体であり、摂取すると体内でNADに変換される。加齢によるNADの減少が老化の原因の1つとされるが、サプリメントで継続的にNMNを摂り、NADを増やすことによって、老化を遅らせる効果が期待できるというわけだ(下図参照)。

 NMNは、枝豆、ブロッコリー、アボガド、キャベツ、牛肉、エビなどの食品に広く含まれているが、含有量は極めて微量。食事で摂ることは難しく、サプリの利用が現実的となる。

 NMNが日本で注目を集め出したのは2016年、現ワシントン大学の今井眞一郎教授の研究チームによる、マウスを使った研究結果の発表まで遡る。水に溶かしたNMNをマウスに投与したところ、体重増加を抑制、エネルギー代謝は高まり、インスリン感受性や目の機能の低下も抑えられたと報告され、世界的な話題となった。その後も、世界中でNMNのサプリメントで老化の進行やそれに伴う疾患の抑制・改善を評価する研究が進められている。

 NMNに関する今後の焦点はヒトによる研究の進展だ。2021年4月、前出の今井教授とサミュエル・クライン教授(ワシントン大学)による「世界初のNMN臨床治験に関する成果論文」が『Science』に掲載され話題になったが、国内でも大阪大学や慶応義塾大学などで研究成果が報告されている。一方、課題となるのが”サプリメント市場”の問題だ。国内外で多数のNMNカプセルが製造・販売されているが、品質にバラツキがあるとの見方も強い。消費リテラシー向上の啓蒙も課題の1つだろう。

NMNが老化制御に作用する仕組み(イメージ)

[参考文献]

1)『100年ライフのサイエンス』(日経BP)

(タイトル部のImage:Goss Vitalij -stock.adobe.com)