ポリファーマシーとは、「poly(多くの)」と「pharmacy(薬)」をかけ合わせた造語で、複数の薬を服用すること。有害事象の発生など、健康上の問題が生じやすい状況を指す。

 薬を何種類以上飲んでいたらポリファーマシーになるのか、厳密な定義はない。また、1種類でも服用回数や1回の服用錠数が多ければ影響は大きくなる。ただし、日本老年医学会のガイドラインでは、「6種類以上で薬物有害事象が増加する、5種類以上で転倒リスクが増えるとの報告から、一般には5~6種類以上を多剤併用の目安とするのが妥当」である旨が記されている。

 高齢になるほど、薬剤種類数の多い患者の割合が増加する傾向がみられ、厚生労働省の2020年度調査では、6種類以上の薬を使っている人の割合は、65~74歳で23.6%、75歳以上で31.7%だった。

 ポリファーマシーは、健康面で不利益をもたらす以外にも、医療費の増加につながる。それゆえ、厚労省はここ数年来、ポリファーマシー対策に力を入れている。

 まずは減薬に向けた取り組みを後押しするため、診療報酬上の評価を充実。2016年度診療報酬改定で、医療機関向けに、退院時に入院時の薬を2種類以上減薬した場合に限り算定できる報酬を新設すると、2018年度改定では、その薬局向けの報酬もつくり、薬局の提案によって医療機関が実際に2種類以上減薬すれば算定可能な報酬を新設した。その後、2020年改定ではこれらの報酬について、減薬に成功した場合の「アウトカム」に加え、減薬に至るまでの「プロセス」も評価する体系に改めて、算定しやすくした。

 ポリファーマシーの改善に向けては、医療機関・薬局が多剤併用の回避を基本対応として心がけておく必要もある。その一助とすべく、厚労省は2018年に「高齢者の医薬品適正使用の指針」を取りまとめ、高齢者に投与する場合に注意すべき薬物をリスト化。医師や薬剤師に不適切な医薬品の中止や減量を考慮することを求めた。さらに2021年3月には、「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」と題する業務手順書、ならびに同タイトルの様式事例集も公表した。

 ポリファーマシー対策へのテコ入れは今後も続く予定で、政府が今年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2021」では、多剤・重複投薬への取り組みについて「進めるべき」と明記されたところ。これを受け、次回2022年度診療報酬改定では、ポリファーマシー対策の推進に向けた、さらなる評価の拡充が予想される。

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