LIFE(科学的介護情報システム)とは、厚生労働省が今年4月に始めた介護保険の新たなデータベース。介護サービス事業所・施設から高齢者に提供したケアの情報を吸い上げ、介護サービスの質向上に生かす仕組みで、Long-term care Information system For Evidenceの頭文字をとった。

 介護事業者が利用登録を行った上で、LIFEの公式サイトから介護現場で行ったケアの内容やそれを受けた利用者の状態などを一定の様式で入力して厚労省に送信すると、そのデータを分析・評価した結果がフィードバックされる。

 もともとLIFEの先行版として、2020年5月より「CHASE」(高齢者の状態やケアの内容等データ収集システム)と呼ばれるデータベースの運用がスタート。実はリハビリ分野に関してはそれ以前の2016年度より「VISIT」(通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集システム)と呼ばれるデータベースが稼働していた。ただし、どちらも事業者の入力負担が重いことなどから、活用が進んでこなかった。

 そこで厚労省はCHASEとVISITの二つを統合してLIFEとした上で、今年4月の2021年度介護報酬改定で、数多くの加算の算定要件にLIFEへのデータ提出やフィードバック情報の活用を位置付けたのだった。点数で誘導したわけだ。

 超高齢社会が進み、社会保障の中でも介護保険は今後、最も給付の伸びが大きいと見込まれ、サービス提供の効率化はいまや待ったなしだ。とはいえ、医療分野に比べて介護分野におけるデータ整備・活用は遅れ、エビデンスに基づく介護サービスの「標準化」は進んでいない。実際、介護の必要な利用者に対し、どんな介護サービスを提供するかは、各事業所によって異なり、多くの現場で経営者やベテランスタッフの「経験と勘」に頼りがちだった。そんな状況を打破して、データ分析を通じた科学に裏付けられた介護を実践する方向へ導くことを厚労省は狙う。

 なお、今回の介護報酬改定では、データの収集に重きが置かれ、ケアを提供した結果の状態がどうなったかは問われない。だが、次回2024年度以降の介護報酬改定ではLIFEで情報収集した利用者の状態が改善したら、プラスの評価がされるというように、実績(アウトカム)評価への転換が進む公算が大きい。

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