ヘルスケア目標のキーワードは「予測・予防」と「100歳人生」

 ヘルスケアのムーンショットである目標2と目標7について、少し詳しく見ていこう。目標2の「2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現」のターゲットとしては、「2050年までに、臓器間の包括的ネットワークの統合的解析を通じて疾患予測・未病評価システムを確立し、疾患の発症自体の抑制・予防を目指す」などが挙がっている。

 目標を達成するためのプロジェクトとして、合原一幸東京大学特別教授がPM(プロジェクト・マネジャー)を務める「複雑臓器制御系の数理的包括理解と超早期精密医療への挑戦」、大野茂男PM(横浜市立大学)らによる「生体内ネットワークの理解による難治性がん克服に向けた挑戦」、片桐秀樹PM(東北大学)らによる「恒常性の理解と制御による糖尿病および併発疾患の克服」などが採択されている。

 一方、目標7の「2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現」のターゲットは、(1)「日常生活の中で自然と予防ができる社会の実現」、(2)「世界中のどこにいても必要な医療にアクセスできるメディカルネットワークの実現」、(3)「負荷を感じずにQOLの劇的な改善を実現(健康格差をなくすインクルージョン社会の実現)」となっている。

 プロジェクトには、阿部高明PM(東北大学)らによる「ミトコンドリア先制医療」、中西真PM(東京大学)らによる「炎症誘発細胞除去による100歳を目指した健康寿命延伸医療の実現」、柳沢正史(筑波大学)PMらによる「睡眠と冬眠:2つの『眠り』の解明と操作が拓く新世代医療の展開」などが並んでいる。

 また、2021年9月に決められた目標9の「2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現」は、うつや孤独の克服など、メンタルヘルスに関する技術革新の期待も大きい。ヘルスケアの広がりを知るテーマとして注目したいムーンショットだ(関連記事:仏教×AIで悩みを相談する「ブッダボット」、その狙いを追った)。

(タイトル部のImage:Goss Vitalij -stock.adobe.com)