iPS創薬とは、患者の細胞から作成したiPS細胞を使って、病態を再現した疾患モデル細胞を開発し、効果のある医薬品の探索を行うこと。創薬プロセスの効率化や迅速化に加えて、患者数が少ないために創薬探索が容易ではなかった稀少疾患の治療法確立においても期待されている。

 例えば、2021年5月には、慶應義塾大学病院の研究グループが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象にしたiPS創薬に基づく治験において、薬剤の安全性と有効性を明らかにしたと発表。研究グループはかねて、ALS患者の血液細胞から作ったiPS細胞を用いて、脊髄運動ニューロンを作成し、別の疾患の治療薬として使われている1232種類の化合物の中からALS病態の改善が期待できる候補化合物の探索を行ってきた。

 その中で、パーキンソン病の治療薬であるロピニロール塩酸塩がALSの病態に有効であることを見出し、医師主導治験を実施した。その結果、ロピニロール塩酸塩の内服によって、1年間の試験期間で、病気の進行を約7カ月遅らせる可能性があることが分かったという。iPS創薬によって、ロピニロール塩酸塩が新たな治療の選択肢になり得る可能性が示唆されたというわけだ(関連記事: iPS創薬と再生医療で難病に挑む慶應発ベンチャー)。