バイオフィリックデザインとは、植物や木材、自然光や自然音など、自然を感じさせる要素を採り入れることによって、そこに居る人の幸福度や生産性などを高められるとする空間デザインの手法のこと。「人は自然と結びつきたいという本能があり、自然と触れ合うことによって健康や幸せを得られる」という米国の生物学者、エドワード・O・ウィルソンが提唱した「バイオフィリア仮説」の考え方が、ベースとなっている(バイオフィリアは「バイオ=生命・生き物・自然」と「フィリア=愛好・趣味」を組み合わせた造語)。

 リモートワークの拡大などにより、オフィスの機能や役割の見直しが議論される中、このバイオフィリックデザインを導入したオフィスへの期待が高まっている。根底にあるのは、ウェルビーングな環境の提供によるオフィス価値の向上だ。自然の優しさを感じさせるオフィスによって、従業員がストレスを軽減し、元気を取り戻し、集中力を高められれば、結果として生産性や創造性の向上も期待できる。海外の調査には、職場にバイオフィリックデザインを導入したことで、幸福度は15%、生産性は6%、創造性は15%上昇したとの報告もある。

 バイオフィリックデザインのオフィス例として、米グーグルや米アマゾン・ドット・コム本社などが知られているが、ここ数年、日本でも多様なプレーヤーによる導入支援サービスや設計プランなどが新登場しており、普及・拡大に向けた環境も整ってきた。

 例えば、パソナ・パナソニックビジネスサービスは、バイオフィリックデザインで健康経営を支援するソリューションとして、2017年より「COMORE BIZ(コモレビス)」を提供している。コモレビスは、ストレス軽減につながる最適な緑視率(人の視界に占める観葉植物の割合)が10~15%という実証実験結果と独自の植物データベースなどに基づいて、顧客企業のニーズに応じたオフィス空間をデザインするサービスだ。導入後の効果測定なども行っている。

 一方、昨年、「環境と健康をともにかなえる建築」をコンセプトとして、オフィス向けなどの中大規模木造建築ブランド「with TREE」を立ち上げたのが、熊谷組と住友林業だ。建築に木材を使うことで地球温暖化防止など環境価値の向上に努めるとともに、建物に木材や緑を採り入れるなどバイオフィリックデザインを採用することで、オフィスの健康価値を高め、企業の健康経営支援を目指している。

 この他、ワークプレイスソリューションカンパニーの清和ビジネス、花と緑に関する事業を展開する第一園芸なども注目を集めている。

(タイトル部のImage:Goss Vitalij -stock.adobe.com)