金融ジェロントロジーとは、高齢者の認知機能や身体機能の変化が金融面に与える影響を、経済学や医学、生物学、介護などの分野から研究・分析する学問のこと。金融とジェロントロジー(老年学)を組み合わせた言葉。フィナンシャル・ジェロントロジー(Financial Gerontology)または金融老年学ともいう。

 平均寿命が延びて長寿化したことや、少子高齢化によって社会全体に占める高齢者に割合が増えたことで、高齢者に寄り添った金融サービスへの必要性が高まっている。認知機能や身体機能が低下することで金融取引を円滑に行えなくなったり、平均寿命を前に資産が尽きてしまったりすることが懸念されているからだ。

 こうした懸念に対応するため、大学や金融機関を中心に金融ジェロントロジーの研究やサービス開発が進められている。内閣府が2018年に閣議決定した高齢社会対策大網においても、高齢投資家の保護に関しては、フィナンシャル・ジェントロジーの進展も踏まえた対応を図ると明記された。

 2019年には、慶應義塾大学と野村ホールディングス、三菱UFJ信託銀行が日本金融ジェロントロジー協会を設立。金融ジェロントロジーに関する知識の普及や、金融ジェロントロジーの知見を金融サービスにつなげられる人材の育成に取り組んでいくという。

 人が健康に過ごせる健康寿命を延ばすためにも、金融ジェロントロジーの概念は不可欠と考えられている。経済面での安定がQOLにつながることから、平均寿命や平均寿命を延ばすためには、蓄えておいた資産が尽きるまでの期間を指す「資産寿命」の視点も欠かせないからだ。

 金融機関における金融ジェロントロジーを取り入れたサービス開発も進んでいる。例えば、大和証券とNTTコミュニケーションズ、日本テクとシステムズは、2022年3月に電話を活用した「認知機能チェックシステム」の実証実験を実施した。大和証券では、この実証実験で得られた成果を生かして金融ジェロントロジーを取り入れた金融サービスの向上につなげたいとしている(関連記事:「電話」を活用した認知機能チェックを実証

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