ヒュッゲ(Hygge)とは、デンマーク語で「快適なこと」「居心地のよい時間や空間」「ウェルネスで満たされている状態」を意味する言葉。外国語には翻訳しにくい概念とされるが、デンマークでは20世紀後半からの文化を象徴するような言葉になっている。2016年頃から幸せなライフスタイルを送るための鍵として、ヒュッゲの概念が欧米を中心に注目されるようになった。

 ヒュッゲのいう居心地のよさとは、肌触りのよい靴下を履いてふかふかのブランケットをかけてソファーに寝転んだり、キャンドルが灯るテーブルで大切な人達と食事や会話を楽しんだりするような感覚だという。北欧に位置するデンマークは、特に冬は日照時間が少ない。そんな中でも、家具や住まいづくりにこだわったり、気心の知れた人との集まりを企画したりするなど、日々の生活の中で満足感を味わう工夫を施しているのだ。

 例えば、「一息つきながら快適にする」「誰かと一緒にいるときは携帯電話の電源を切る」「証明を落としてキャンドルに火を灯す」「人間関係を構築し、仲間とともに過ごす」「時にはケーキを食べるなどして自分自身を休ませる」「今日を生きる」といったことを意識すると、日常生活にヒュッゲを取り入れることができるという。

 日本でも、コロナ禍になり、自宅で過ごす時間が増えたことで、ヒュッゲの概念がより一層注目されつつある。SMNメディアデザインは、自宅での過ごし方や暮らしのアイデアを紹介し合うライフスタイルコミュニティメディア「MANEKU(マネク)」を2021年2月にオープン。このメディアは、コロナ禍になり自宅で過ごす時間が増えたことを受け、ヒュッゲのような心地よい時間になるようにという思いから立ち上げたという。

 寝具を取り扱うテンピュール・シーリー・ジャパンは、2020年12月にオープンした旗艦店大阪ショールームに、「HYGGE(ヒュッゲ)スペース」なる空間を設けている。居心地のよさを追求し、自宅にいるかのように寛ぎながら商品を体験してもらう願いで設置した。

 このほか、三井ホームは、2018年から1980年から2000年代初頭生まれのミレニアル世代を対象にした暮らし提案型商品「NATURAL HYGGE STYLE(ナチュラル ヒュッゲ スタイル)」を2018年3月から販売している。人とのふれあいから生まれる居心地のよさを生み出す住空間の提案をしていく商品だという。

 このように、ライフスタイルに関わるさまざまなサービスにヒュッゲの考え方が取り入れられ始めている。人々のウェルビーイングにどう影響を及ぼすか、注目したい。

(タイトル部のImage:Goss Vitalij -stock.adobe.com)