GSMとはGenitourinary Syndrome of Menopauseの略で、日本語では「閉経関連泌尿生殖器症候群」。女性ホルモンの影響によって起こる、更年期女性のデリケートゾーンの不具合を指す。2014年に国際女性性機能学会と米国更年期学会が提唱した疾患で、世界的なフェムテックの流れと共に話題になっている。

 閉経期から閉経後の女性は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に低下することで自律神経が乱れ、ほてりや動悸、発汗やイライラ、ドライマウスなどさまざまな更年期症状が起こる。そして同じくエストロゲンの減少によって、膣や外陰部などデリケートゾーンの粘膜や皮膚組織が乾燥・萎縮し、痒みや灼熱感などの不快症状や、性交痛などの性機能障害、さらに頻尿や尿もれといった排尿障害が起こるのがGSMだ。

 日本産科婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2020」によると、GSMの治療には保湿剤の使用やエストロゲン療法のほか、顔のリフトアップなど美容医療で使われてきた炭酸ガスフラクショナルレーザーの照射も有効とされており、膣粘膜用のレーザー治療(モナリザタッチ)を導入するクリニックが増えてきている。

 また外陰部が萎縮すると同時に、骨盤底の筋肉が衰えてしまうと尿トラブルが悪化することから、骨盤底筋をトレーニングする運動やグッズなど、セルフケアも注目されている。デリケートゾーンの洗い過ぎや乾燥を防ぐ専用ケア製品も続々登場しているほか、帝人からは「膣内環境を良好にする」日本初の機能性表示食品が発売されるなど、GSM関連の市場は拡大しつつある。

 以前は人に相談しにくく、放置することで慢性化してしまい、QOLの低下を招いていたGSMだが、女性たちが声を上げることで認知度が徐々に高まり、対処法も増えてきた。一方男性も、LOH(加齢男性性腺機能低下)症候群という男性の更年期症状で排尿障害が起こることが知られている。人生100年時代、排泄障害を防ぎ自立した健康生活を長く楽しむためにも、早めの対策や治療が求められている。

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