HPKIとは 、Healthcare Public Key Infrastructureの略で、保健医療福祉分野で公的資格の確認機能を有する電子署名や電子認証を行う基盤を指す。現在、厚生労働省が所管する医師・薬剤師・看護師など保健医療福祉分野の27種類の国家資格と、院長・管理薬剤師など5種類の管理者資格を電子的に認証できる。

 保健医療福祉分野でITを活用する際には、なりすましや改ざんといったリスクの回避が欠かせない。とくに電子カルテなどの診療情報は極めてセンシティブな個人情報であり、情報の漏洩は決して許されない。そこで高い情報セキュリティを担保するため、厚労省によって2006年にHPKIの仕組みが構築された。

 HPKIでは厚労省が認証ポリシーを定めており、その準拠性監査を受けて合格した医療情報システム開発センター(MEDIS)や日本医師会、日本薬剤師会の認証局が、会員などからの申請を受けて、電子証明書を内蔵したHPKIカード(資格証ICカード)を発行する仕組みをとる。

 HPKIを利用すると、例えば医師は医師の国家資格を持っていることを示す電子署名を付けた電子紹介状(診療情報提供書)や電子診断書の作成が可能となる。それを受け取る側は、データの改ざんやなりすましなどがないかを電子的に検証できる。

 だが現状、HPKIカードの取得数は医師の約6%にとどまる。ICチップの入ったカードとカードのデータを読み取る機械が必要になるなど、コストがかかるだけでなく運用も煩雑であるとして、入手が敬遠されているもようだ。

 その影響は政府が2023年1月に運用開始予定の電子処方箋にも出ている。政府は当初、医師の署名はHPKIカードによるものに限る考えだったが、その後、HPKIカードを「推奨」と改め、さらには一般的なインターネット上で用いられる電子署名でも発行可能とした。

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