男性育休とは、男性が取得する育児・介護休業法に基づく休業制度(育休)を指す。育休は男女かかわりなく、また実子・養子問わず取得可能で、原則として1歳に満たない子どもを育てる労働者が事業主に申し出ることで利用できる。法律に適合した形で育休を申請した場合、事業主はこの「申出」を拒めない。

 2010年の法改正で、母親だけでなく父親も育児休暇を取得して育児に参加する場合、必要に応じて育休期間を2カ月延長し、子どもが1歳2カ月になるまで取得できる「パパ・ママ育休プラス」がスタートした。また、それまで育休は原則として分割取得が不可だったが、特例として、出生後8週間以内に育児休業を開始し、かつ終了した場合、再度の取得が可能になった。こちらは、男性の育児参加機会を増やすことを目的としたものから、「パパ休暇」と呼ばれる。

 これらの施策により、男性の育休取得率は近年急上昇しているものの、女性との差は依然として大きい。厚生労働省の調査によると、2020年度の育休取得率は女性の81.6%に対して男性は12.65%にとどまった。また、育児休業の取得期間についても男女の間で大きな違いがみられ、女性は9割近くが6カ月以上となっている一方、男性は5日未満が36.3%、8割が1カ月未満となっている。

 2025年度までに男性の育休取得率30%を目指す政府は、男性がより一層育休を取りやすくするため、2021年6月に育児・介護休業法のさらなる改正に踏み切った。改正法は以下の通り2022年4月より順次施行されている。

 まず2022年4月1日より、すべての事業主は産休や育休が取得しやすいように「研修の実施」「相談窓口設置」「取得事例の収集・提供」「取得促進に関する方針の周知」のいずれかの措置を講じる必要がある。加えて、妊娠・出産(本人ならびに配偶者)の申し出をした労働者に対し、制度の周知および休業の取得意向を確認することも義務化された。さらに、有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件が緩和され、「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」との要件が廃止された。

 2022年10月1日からは、「出生時育児休業」(産後パパ育休、男性版産休)制度がスタート。これは通常の育休制度とは別に、子の出生後8週間以内に最長4週間まで取得でき、期間内に2回まで分割取得ができるというもの。勤務先の企業への申請期限も通常の育休では「1カ月前」だが、出生時育児休業では「2週間前」となる。なお、出生時育児休業の開始に伴い、前述の「パパ休暇」は廃止される。このほか、従来から存在する通常の育児休業についても見直され、最大2回までの分割取得が可能になる。出生時育児休業と併せると、最大4回まで育児休業を取得できるようになる。

 2023年4月からは従業員が1000人を超えている事業主を対象に、育休取得率の公表も義務化される。

 男性に育休の取得を促すには、職場全体の理解や上司からの働きかけが欠かせない。男性も育休を取得しやすい環境が整えば、男女が協力して育児を行いやすくなるだけに、男性社員も育休を当たり前に取得できる職場づくりが急がれる。

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