ニューロダイバーシティ(Neurodiversity:神経多様性)とは、脳や神経(Neuro:ニューロ)、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを「多様性(Diversity:ダイバーシティ)」と捉えて尊重し、社会の中で生かしていこうとする考え方のこと。

 自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)など、発達障害において生じる現象を、能力の欠如や障害ではなく、「人間のゲノムの自然で正常な変異」として捉える概念でもある。こうした発達障害のある人材に対し、一定の配慮や支援をしつつも、いわゆる「障害者枠」ではなく、その人の特性を生かして戦力化しようとする企業や社会の取り組みが、いまイノベーションを起こそうとする新たな成長戦略として注目されている。

 国際的にニューロダイバーシティの取り組みが広がったのは、デンマークのスペシャリステルネという企業がきっかけとされる。同社の創業者兼会長のトルキル・ゾンネ(Thorkil Sonne)氏は、自閉症の人の優れた資質に気づき、ソフトウエアテスターとして雇用するソフトウエアコンサルティング会社を開業した。同社の業務の品質は高く評価され、マイクロソフト社など世界有数の企業を顧客に持つ。ゾンネ氏は、自閉症のある人たちの雇用を促進する非営利のスぺシャリステルネ財団(Specialisterne Foundation)も設立し、独自に開発した雇用プログラムを世界有数の企業へ提供している。

 この流れは世界へ広がり、日本でもITやゲーム業界を中心にニューロダイバーシティに積極的に取り組む企業が出てきている。例えば、デジタルハーツ/デジタルハーツプラス社は、ゲームが好きで発達障害のある元フリーター・元ひきこもりの人材を積極的に採用した。同社の事業は、開発中のゲームソフトのバグを見つけるゲームデバッグで、発達障害のある人の並外れた集中力を生かして、スペシャリストとして高いパフォーマンスを発揮してもらうことに成功しているという。