弘前大学 健康未来イノベーションセンター(医学研究科附属)副センター長 教授/COI副拠点長の村下公一氏は、「日経クロスヘルスEXPO 2021」(2021年10月11~22日にオンライン開催)に登壇。「健康無関心層の行動変容を促進する革新的ヘルスケア・デジタルツイン戦略 -オープンイノベーションを基盤としたBDドリブン型新well-being社会システムの実現-」と題して講演した。9年間に渡る弘前大学COIの取り組みを紹介しつつ、政府が支援する同プログラムが最終年度を迎えるに当たり今後の展望を語った。

弘前大学の村下公一氏
弘前大学の村下公一氏
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 冒頭、村下氏はあらためて弘前大学COIの取り組みの特徴を紹介。「短命県返上、健康長寿社会の実現」といったビジョンを掲げ、そこからさかのぼって最終的なゴールを目指す「バックキャスティング」の手法を本格的に取り入れたプロジェクトであることを強調した。

 産・学・官・金・民連携で、強固なオープンイノベーション推進体制を構築しているのも弘前大学COIの特徴だ。例えば、大学との連携では、「健康ビッグデータの収集・蓄積を行なうグループ」と「発症予測アルゴリズムの解明を行なうグループ」に分け、各大学・地域の特徴・強みを生かして多大学の連携をマルチに進めている点を挙げた。

 民間との連携では、弘前大学医学部キャンパスの中に「健康未来イノベーションセンター」を設立。既に15の企業がここに共同研究講座を開設しているという。「企業の研究員が大学に常駐し、日々顔を合わせながら研究を進めている。名前だけではなく本気で取り組んでいる企業がこれだけある」とアピールした。

 「COIデータ管理委員会」という仕組みも弘前大学COIの大きな特徴だとする。さまざまな企業が研究開発に関するデータを共有しつつ、共同で解析できる。この仕組みにより研究が一気に加速したという。さらに発展して企業、大学がマルチに連携しながら色々な分析を行なう取り組みも進めている。

 「一般的に健康は年齢、性、遺伝的要因で語られることが多いが、実はその人が置かれている外部環境までしっかり見ないと分からないと言われている」と村下氏。弘前大学COIには、2005年から弘前市岩木地区で実施されている大規模住民健診「岩木健康増進プロジェクト健診」により、分子生物学的データから社会環境的データまで、すべて網羅的につないだ3000項目もの健診データを蓄積した「健康ビッグデータ」がある。あえて新しい住民、新しい項目を受け入れられる手法を取り入れているのもポイントで、企業が途中から加わっても新たなイノベーティブな研究ができる体制を採っていると胸を張った。