●李明恩氏(長崎大学)

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 李氏は、地域薬局同士の医薬品不動在庫二次流通システム「ヤクカリ」のアイデアを紹介した。薬局の不動在庫医薬品の廃棄にかかる費用は、毎年100億~200億円と推定されている。しかも、これによって経営悪化した薬局が閉局すれば、患者は「欲しい医薬品がすぐ手に入らない」という問題も生じる。そこでヤクカリは、地域内の医薬品の「在庫を売りたい薬局」と「在庫を買いたい薬局」をマッチングし、そのような課題を解決していく。

 ヤクカリでは、医薬品在庫の二次流通エコシステムを構築。これにより、ユーザーには「在庫&医薬品廃棄費用の軽減」「在庫管理の心理的ストレスの軽減」などの効果が期待され、薬局経営の改善と医療の質向上につながると考える。さらに、薬剤師のコミュニケーションツールとなるチャット機能や、医療用医薬品の販売に必要な譲受・譲渡書類をアプリ内で自動生成する機能も備えており、業務の能率化にもつなげていく。

 社会的な効果としては、患者ファーストの医療やサスティナブルな医療の実現が期待される。また、無駄が省かれることで薬価低下や医療赤字の緩和が期待できるほか、廃棄医薬品による環境汚染の軽減も見込まれる。

●首藤剛氏(熊本大学)

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 首藤氏は、実験動物「Cエレガンス(線虫)」を用いて健康寿命を指標化する技術「C-HAS」の開発に取り組んでいる。社会のニーズとして健康志向が高まるなかで、健康寿命の研究におけるさまざまな課題を解決していきたい考えだ。

 C-HASは、技術基盤であるCエレガンスの健康寿命の質的変化を簡単に捉える技術である。「短期間」「簡便」「自動」「多検体」「集団に分類可」といった特徴を持ち、わずか30日で「健康長寿(ピンピンコロリ)」や「不健康(ネンネンコロリ)」の程度を表せるという。

 具体的には、Cエレガンスの状態を見分けることで「寿命データの取得」や「質の評価」を行う。さらに、ピンピンコロリやネンネンコロリの程度を示す健康影響力の新指標「HaS(Healthable Score)」を開発し、これによって健康寿命の質の数値化にも成功したそうだ。

 ビジネスモデルとしてはまず、C-HASを使って新しい抗老化薬を見つける「ものづくり・探索」と、企業が持つ健康素材をC-HASで評価する「受託」を想定する。また今後は、Cエレガンスを用いたビックデータ解析や優良食品認定事業、健康影響の評価などにも取り組むことでLIFESPAN 3.0を推進し、医療費の適正化やQuality of Societyの向上に貢献したいと考える。