出典:「日経メディカル」2021年11月4日付の記事より

 2021年10月21日に開催された「日経クロスヘルス EXPO 2021」(主催:日経BP、開催期間:10月11~22日)のオンラインセミナー「医療現場におけるAIとの上手な付き合い方~AI内視鏡は日常診療に何をもたらすか~」に、国立がん研究センター中央病院内視鏡センター長・内視鏡科科長で日本消化器内視鏡学会・AI推進検討委員会の委員長を務める斎藤豊氏が登壇した。人工知能(AI)を活用した内視鏡診断補助システムの開発に携わり、内視鏡AIの開発と臨床使用の両面を知る同氏は、医療分野のAIの中でも実用化が先行する大腸内視鏡AIの実力や課題、多様なデータを統合してがんの転移再発や予後を予測する「マルチモーダルAI」の開発に向けた展望などについて解説した。

写真1●国立がん研究センター中央病院の斎藤豊氏
写真1●国立がん研究センター中央病院の斎藤豊氏

 医療の幅広い分野でAIの導入が加速している。中でも大腸内視鏡(下部消化管内視鏡)検査を支援するAIは実用化が先行している。

 大腸内視鏡検査では、まず深部まで内視鏡を挿入し、引き抜きながらポリープや大腸がんが疑われる粘膜病変を探す。倍率や光の色、コントラストなどを調整しながら、粘膜表面構造や微細血管構造を観察。切除が必要なポリープならその場で切除し、切除できない場合には深達度診断を行ってその後の治療方針を検討する。こうした一連の操作を、AIが得意とする画像認識技術を用いて支援する製品が、相次いで上市されている。

 先陣を切ったのは、2019年3月にオリンパスが発売した「EndoBRAIN」。オリンパス製の超拡大内視鏡Endocytoと組み合わせて、ポリープが腫瘍性か非腫瘍性かどうかを判定する内視鏡AIだ。その後もオリンパスは、病変の検出を支援する「EndoBRAIN-EYE」、深達度を判定することで腺腫・粘膜内がんと浸潤がんを見分ける「EndoBRAIN-Plus」など、「EndoBRAINシリーズ」の製品を次々と上市してきた。

 一方、富士フイルムメディカルは2020年11月、富士フイルム製の大腸内視鏡と組み合わせて使用するAI製品「CAD EYE」を発売。病変検出と腫瘍性・非腫瘍性の鑑別という2つの機能に対応している。2021年1月には日本電気(NEC)が、主要3社(オリンパス、富士フイルム、HOYA[PENTAX])の内視鏡システムに接続して病変検出を支援する「WISE VISION内視鏡画像解析AI」を発売した(写真2)。このように、大腸内視鏡AIの開発は3社の製品がしのぎを削る状況にある。

写真2●WISE VISION内視鏡画像解析AIの画面イメージ(提供:NEC)
写真2●WISE VISION内視鏡画像解析AIの画面イメージ(提供:NEC)