実際の入院患者の睡眠データなどを用い、認知症の発症を睡眠から予測する――。そんなAIの実用化に向けた臨床研究が始まったことが、Beyond Healthの取材で明らかになった。

 取り組みを進めているのは、医学部発のスリープテックベンチャーであるエコナビスタと、医療法人社団一心会 初富保健病院/初富保健病院介護医療院。両者が業務提携したことは既に発表されているが、その具体的な施策の一つとして、睡眠データからの認知症発症予測AIの実用化を目指すもようだ。

 エコナビスタは、大阪市立大学大学院 医学研究科 疲労医学教室の研究成果を応用し、2009年に創業したベンチャー企業。睡眠時の生体情報を取得できるセンサーを用いた高齢者施設向けの見守り支援サービス「ライフリズムナビ+Dr.」を運用している。既に、のべ2000人以上の利用実績があり、高齢者の睡眠状態および睡眠時の生体情報に関する多くのデータを保有しているという。

 今回は、同意を得た初富保健病院/初富保健病院介護医療院の入院患者を対象に、このセンサーによって睡眠時のデータを取得。これを基に、認知症の発症傾向の特徴を持つ睡眠の構造や位相、自律神経の解析と、認知症の発症を予測するAIの実用化に向けた臨床研究を進める。

 認知症のスクリーニングツールとしては既に様々なものが実用化されているが、質問や課題に答えたりするなど患者が能動的に参加する必要があるものが多い。今回の睡眠データのような何気ない生活データから変化の予兆をつかめるようになれば、見逃しの減少やより早期の発見などに寄与する可能性がある。

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